フェイブルマンズ
僕と契約してスピルバーグになってよ
GWに映画感想を一掃する企画第3弾。
スピルバーグの新作「フェイブルマンズ」を観ました。観たのは公開日の3月。
ものすんごいよかった!感動しました。
素晴らしい映画ですし、エブエブがハマらなかったこともあり、なぜこの映画がアカデミー作品賞じゃないの?って思っちゃうくらい、私は好きな映画でした。
映画というものに取りつかれ、映画の天才であるという呪いについての話にも見えて、私的には「僕と契約して魔法少女になってよ」というまどマギのセリフが頭に浮かぶくらい「僕と契約してスピルバーグになってよ」という天才映画監督にならなければならない男が映画という悪魔と契約する話に見えて素晴らしくも恐ろしい映画に見えました。
スピルバーグが背負った業のようなものをここまで鮮烈にしかも自分で描いてるのはほんと凄いなと思いました。映画というものは暴力的で恐ろしいものであるというのをいろんなエピソードとともに描いていく。編集作業中にお母さんの不倫を見つけるシーンや、それを身もふたもなくお母さんに見せるシーン、そしていじめっ子を主人公に仕立てて映画を撮っちゃうクライマックスなど、映画というものの逃れられない暴力性をこれでもかと描くというのがほんとすごかったなぁ。あと通底して映画は編集であるというのが貫かれてるのもよかったです。お母さんの不倫とそのフィルムも編集、いじめっ子の件も編集によって主人公に仕立てる。映画というものは編集によって怪物にできるし、人の心を狂わせコントロールできるという恐ろしくも素晴らしい映画になってましたね。
そしてこの映画はなんといってもラストシーンですかね。スピルバーグ史上でも最高のラストシーンのひとつだと思います。リンチがあのひとを演じてることも含め。あのただのカメラをクイっと動かすだけのラストショットに色々なものが詰まってて本当に感動しました。
私はモノづくりを生業としているので、ほんと色んな意味で刺激を受けたし、なんか大事な1本になっちゃったなぁ。素晴らしい映画でした。