「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
家族という檻の中
GWに止まってた感想を消化する企画第2弾。こちらは3月頭に観ました。
アカデミー賞最有力ということで、「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を
初日に観てきました。
序盤から中盤は楽しんだし、ミシェル・ヨーは素晴らしかったのだけど、最終的なテーマにあんまりノレず。これが作品賞か……と思った記憶。私はかなり乗れず、苦手な映画でした。
この映画、アイディアや序盤の物語が広がっていく感じ、ユーモアやシニカルな笑いなど楽しんだところもめちゃくちゃあったんですが、最終的に行きつく物語に乗れませんでした。新しいことをしているように見えて、行きつくラストの根本はものすごく閉じた、保守的な話だなと思って、息苦しくなりました。
この映画の強固な「家族」というもののこだわりがかなり苦手で、最近特に多いんだけど、根本的に家族というものはなんやかんやでわかりあえるはずだし、そうなるべきである的なとても「家族性善説」的な思想が根本にあると思いました。外に出たい脱出したいという娘を、それでも「家族」という檻の中にまた吸収しちゃうように見えちゃいました。納得させるというか…。「家族」なんてただの枠組みでしかないんだからいいじゃん外に出ちゃえば。この夫婦もいいじゃん離婚してリセットすれば、って単純に思っちゃうというか。家族というものは一緒にいないといけない、一致団結するべきものなのであるという思想が根本にあって、その思想によって主人公たちの苦しみが明らかに生まれてるし、もうそんなに家族というものの幻想に右往左往されなくても良くない?って思っちゃったわけです。いったん家族解散して適切な距離感でやり直す方が明らかにみんなにとって楽そうだし、ハッピーな気がするんだけどなぁ…。なんて思いました。
アバンギャルドでとがった映画に見えるけど、強固に軸にあるのはものすごく保守的な家族像。ここが私はかなり苦手でした。
というわけで、私のエブエブ感想でした。