ベイビー・ブローカー
監督:是枝裕和さん
出演:ソン・ガンホさん、他
赤ちゃんが演技してる奇跡
是枝監督新作、「ベイビー・ブローカー」を観ました。カンヌで二冠の本作。楽しみにしておりました。
てなわけで「ベイビー・ブローカー」、私はちょっと微妙だったかなぁ…と思ったりしました。いい映画であることは間違いないし、おもしろくは観たけど、観たいタイプの是枝作品ではなかったかなぁという印象です。大好きな監督だけにどうしても期待値上がっちゃうなぁと。
是枝作品には、エッセイ的なタイプの作品と、しっかり物語がしっかりあるタイプの作品で2パターンあると思っていて、今回は後者の物語がしっかりあるタイプの作品だと勝手にカテゴライズしてます。
是枝作品はほんとに好きな映画が多いんですが、苦手な作品もあって。私の好きなタイプの是枝作品にはエッセイ的な方が多く、逆に物語がしっかりあるタイプの作品には苦手な作品が多い。今回は、その「苦手なタイプの是枝作品」のそれだったなぁという感じでした。
特に今回は語りたいお話が多い分、話が前半からどうしてもモタモタします。監督の手法というか、作家性も相まって、間の長い撮影な語りが物語を進める上でマイナスに働いちゃってる気がして。その結果後半は大急ぎで話を畳み始めるみたいな、ちょっと作品バランスがあんま良くないなと思いながら見てました。端的に言うと中盤あたりかなり間伸びして退屈だった…。編集のテンポをもうちょい上げてよかったんじゃないかなぁなんて思わなくもない。語る要素が多い分、かなり冗長なのに散漫な感じがしました。あと、画面が映画として跳ねないというのも気になりました。これ!という印象的で忘れ難いショットがない。メリハリがなくのっぺりと進んでいったなぁと思います。
ただ役者陣の演技がどなたも素晴らしくて、演技に見入りました。特に赤ちゃんの演技。演技?なのか?どうやって演出してるんだろうと思うくらい赤ちゃんなのになぜか演技をしているように見えるという奇跡。ここはほんとすごいと思いました。
観たソン・ガンホはもちろん久々に見たペ・ドゥナ良かったなぁ。あとみんな大好きIUも最高。IUは映画でもっと観たいですよね。
てなわけで、ベイビー・ブローカー。描こうとしてること、伝えたいこと、はとても素晴らしいと思いました。が、冗長で散漫で正直退屈。という私の感想でした。んー次に期待!