ピクサー新作「私ときどきレッサーパンダ」を観た | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 
 

  ​私ときどきレッサーパンダ

 

 

監督:ドミー・シーさん

出演:ロザリー・シアンさん、他

世代を超えたレリゴー

 

 

Disney+で配信中のピクサー新作「私ときどきレッサーパンダ」を観ました。すごく良かった!とても良かったのに映画館で観れないのは残念でしたが、配信とはいえ観れて良かった。




正直WOWOWのHollywood Expressかなんかで最初に映画のヴィジュアルを観た時は、「この映画おもしろいの?」って感じのヴィジュアルで、映画も劇場公開ないし、なんとなくのイメージでなめてたんですが、観てみるとこれがめちゃくちゃおもしろかったです。最近ピクサーの中では「インサイド・ヘッド」枠というか、子供の成長をポップに科学する系の映画というか、いずれにしても好きな類のテーマでとてもおもしろかったです。ま、そんなわけである日突然レッサーパンダに変身する能力が発現した女の子の話なんですが…。
 
もうとにかくこの映画、まぁいろいろと見どころはあるんだけど、まずもって主人公の母親の毒親っぷりが、なんというか最近の中でも頭ひとつ抜けてる毒親っぷりで、いい意味で観てて頭痛くなりました。ジェーン・スーさんとかがよく言ってますが、子供に人格があると思ってないタイプの母親で、基本的にこれをやると子供が周りからどう見られるかという思考が1ミリもないタイプ。ガチでキッツかったなぁ(笑)あのコンビニ凸シーンはやばすぎでしょ(汗)。毒親描写があまりにもインパクトが凄くて、近年稀に見る毒親像を生み出すことに成功していましたね。



あと印象的なシーンがあって。レッサーパンダになる力を得た主人公が、推しのライブの資金集めのために変身して、チェキ会、ハグ会、イベント営業などをこなすシーンが、可愛くもなんか涙ぐましかったし、なんかすごい今っぽかったです。推し活のために苦労して資金を集めるオタクたちを重ねました…。


わたしの10年来の友達で、熱狂的な某アイドルグループのオタクの友達がいるんですが、資金集めのためにパパ活的なことやら友達から見てもちょっとどうなんだそのバイトは…ということを副業でやってるこがいて(あくまで本人は楽しそうだが)、彼女と飲んでる時にこの映画の話になりこのシーンを「あれ私とやってること同じだよねw 推しのためのパパ活ならぬ、モフ活だね(`・∀・´)キリリ」と言ってまして、「このシーン見た時のスレスレだなぁ感はおまえの顔浮かんだからかぁ…ʅ(◞‿◟)ʃ 」となりました。


ま、その話はさておき、最終的なテーマのまとめ方が見事でした。これまで「レッサーパンダになる」ということを抑えて生きてきた旧世代から、「レッサーパンダになる自分」を解放して(レリゴーして)新時代へと繋ぐ。世代を超えたレリゴーになってて、素晴らしい締めになってました。


女性の身体のリアルな成長・変化をここまで暗喩的とは言え描いた姿勢とそれ自体が最終的なテーマに収れんしてくのも見事で、久々に「スキのないピクサー映画」を観たなと「インサイド・ヘッド」以来の満足感で満たされました。お見事でした。