あの頃。
「恋ING」がフィーチャーされる世界線
監督:今泉力哉さん
出演:松坂桃李さん、他
劔さんの原作「あの頃。男子かしまし物語」ファンであり、ハロプロ好きであり、脚本の富永さん、監督の今泉さんのファンである私にとってまさに「待ってました!」な一本であった「あの頃。」の映画化。観てきました。とても良かったです。
嬉しかったのはなんといっても「恋ING」ですね。「恋ING」は「Go Girl 〜恋のヴィクトリー〜」のカップリング曲で、ハロプロファンやハロメンの間でもものすごくファンが多い名曲。今でもハローのイベントなんかでは定期的に色んなハロメンがカバーしたりしています。元々「恋ING」がシングルカットされる予定だったという話もあったり。(オタク特有の早口)
そんな世間的には隠れた曲である「恋ING」が原作でも恋愛研究会。のテーマソングとなってたわけですが、ちゃんと映画化しても「恋ING」をフィーチャーしてくれてありがとう!!という気持ちでいっぱいになりました。原作通りの曲使いだけど、今ここに来て劇場で「恋ING」がフィーチャーされる世界線最高だよ!!と思いましたね。安易な製作陣ならモーニングのメジャーなシングル曲に変えそうなところだし、それを危惧していましたが、まったくの杞憂でした。1番最後に流れる「恋ING」の使い方とか完璧すぎて(それと単純にこの曲がめちゃくちゃ好きという感情も相まり)滝のように涙を流した次第。
あと、松浦亜弥に心奪われる掴みのシーンはほんとに素晴らしかった。人間がアイドルに心奪われる瞬間を描いた描写として完璧だったなと思いますし、この映画屈指の名シーンだと思います。本当にああいう瞬間を体験したことのある人間にとっては、決して他人事ではない、確かにアイドルに心救われる瞬間というのは存在する。松浦亜弥という最強の存在と当時の映像の説得力も含めて、ハローファンとしても映画ファンとしてもあのシーンは凄かったです。松浦亜弥といえば、「松浦亜弥役」という無理難題を任せられた夢羽ちゃんの松浦亜弥っぷりも凄かったな…。松浦亜弥にしか見えなかったよ!!
映画全体としてですが、ここまで原作通りにさまざまなディティールを描いてることは驚きました。これほんとにあったことなの?っていうことの全ては本当に起こっています。ただ、今の基準で見ると気になるところはある…というのは正直あるのでまさに「あの頃。」を俯瞰して、批評的視点みたいのがあってもよかったかなというのは、原作ファンではありますが少し思うところでした。
ただですね、あの頃は良かったという単純な懐古主義的になりすぎていないところは良くて、映画の最後に引用される我らが道重さゆみ様の名言がそうであるように全体通して、あの頃も良かったけどなにより今が最強であるという開かれた味わいが、この映画の魅力だと思います。あの道重さゆみの名言はただ劔さんが道重ファンだから引用されたというわけではなく、あの言葉こそがこの映画の本質であり、我々の人生の本質なんじゃないかなと思いました。つまり道重さゆみは最高なのだ。そんなことを思ったハローものであり、映画ファンである私が観た「あの頃。」でした。