星の子/この家に生まれて | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




星の子


この家に生まれて
監督:大森立嗣さん
出演:芦田愛菜さん、他



去年観ようと思ってたのですが、見逃していた「星の子」が先行で配信されてたので観ました。とてもおもしろかったので記録として感想を少し。


新興宗教の信者である両親に育てられた子供、いわゆる宗教二世のお話ですね。まず何と言っても手際のいいアバンが良かった!こういう条件重なると新興宗教に入っちゃうよな…という納得感と切実さ。私は子供はいないけど、兄妹が病弱だったこともあり、そしてそこに悩む親の姿も見てたので、あぁわかるなぁと色々思い出したりしました。

芦田愛菜がだんだん今ある状況に違和感を覚え出す過程もとても丁寧で良かったです。完全に芦田愛菜を信じて撮られてるところも好印象。多くを語らず、心地の良い余白を残してるところが良かったですね。芦田愛菜すごいなぁ〜。うまいなぁ〜。と思いながら観てました。

この辺の芦田愛菜の変化がいちばんドロっと露わになる先生が送ってくれた車の中で儀式中の親に遭遇というシーン。あそこはキツかったなぁ〜〜。


成長というのは、「親と自分は他人である」ということに気づくことなのかなとこの映画を観て思いました。そこを認めた上で、それでも切り離せない厄介なものが家族というもので。そこを賛でも否でもない絶妙なバランスで描いてたのがおもしろかったです。

どんなに新興宗教に貢いで貧乏になっても、どんなに周りからは奇怪に見えても、本人たちが救われ幸せになっていれば、それはそれで幸せの形なのかなぁとか。幸せって何なんだろうか…というのは思いました。ただ、この状況はおかしいと気付いてしまって、それでも親を否定せずそこにいる芦田愛菜、という構造はやっぱちょっと芦田愛菜に負荷がかかりすぎているような気はして、ラストはちょっと心配になりながら見てました。親2人はブレない分いちばん幸せそう。この辺のバランスも親と子の話として、また子供の成長の話として、とてもよくできた映画だったと思います。いろんな見方ができて大変楽しみました。