【ベストテン】2020年映画ベスト10 | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。



今年もやっとベストテンの季節に。今年は激動でしたな。そもそも楽しみにしてた映画がコロナで飛びに飛びまくり、007とかブラックウィドウとか、映画館で予告を見過ぎてすっかり観た気になってる映画ばかりですが、今年もベストテンを選びました。映画館で映画を観れない分、配信系をたくさん観たかと思いきや、そもそも映画館で観ることが好きなのであって家ではそもそも映画を観れない身体(集中力)であるという気づきを得たりした、そんな2020年。ではベストテン、こんな感じです。



【2020年映画ベスト10】
①本気のしるし 劇場版
②ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー
③魔女見習いをさがして
④ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋
⑤ジョジョ・ラビット
⑥透明人間
⑦TENET テネット
⑧ナイチンゲール
⑨娘は戦場で生まれた
⑩青くて痛くて脆い


こんな感じになりました〜
では例の如く軽く振り返り。


①本気のしるし 劇場版

1位は深田監督の「本気のしるし 劇場版」。個人的には文句なしのダントツの1位でした!「映画的瞬間」を更新し続け、どのシーンを切り取っても「こういう映画を観たくて映画を観てるんだよ俺は」という感じの至福の4時間でした。脚本の見事さとスピード感、美しい円環構造。ヒロインの得体の知れない危うさ、不気味さ…。恋愛映画としての素晴らしさもありつつノワールというジャンルをひっくり返す新しさもあり、文句なしです。



②ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー

2位は「ブックスマート」。コロナで鬱々とした1年でしたが、ブックスマートがあったから乗り越えられたといっても過言ではありません。人間と人間が関わり合い理解し合うこと、つまりはコミュニケーションというものの可能性を心底ハッピーにキュートに描き切った素晴らしい青春映画でした!崇高なことを描きつつも全体的に心底バカなのがまたイイ。



③魔女見習いをさがして

3位はおジャ魔女どれみ20周年作品「魔女見習いをさがして」。平成生まれを本気で殺しにいき、本気で癒しに行く!というただならぬ熱意に心打たれました。いいことなんてないどん詰まり世代である平成生まれにとって、フィクション作品こそが唯一の希望である…という「フィクション作品」の可能性と希望みたいなものを描いてるところが好き。おジャ魔女カーニバルをスクリーンで浴びて無事死にました。素晴らしいセラピー映画だったと思います。



④ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋


笑って泣いた「ロング・ショット」が4位。基本的にど下ネタやドラッグ、洪水のように引用されるポップカルチャーの小ネタなど、愉快なコメディではあるんだけど、根っこの部分は「現代版ローマの休日」とも言えるしっかりとしたラブストーリー。もろもろの奇跡的なバランス感覚ではからずも今年1番の理想的なアメリカ恋愛映画になりました。



⑤ジョジョ・ラビット

5位は「ジョジョ・ラビット」。賛否割れ気味ですし否定派の意見も分かりますが、それを補って余りあるキュートさと苦さと愛おしさに心を奪われました。ラストシーンのダンスはここ最近でも最も好きな、忘れ難いダンスシーンです。戦争中という他者への優しさや対話が無意味な残酷な世界であっても、それでも、希望への扉を切り開く鍵は「誰かへの優しさ」であるというメッセージが超刺さりましたね〜。



⑥透明人間

6位は「透明人間」。ワンシーンも観客に安心させないぞ!という作り手のただならぬ強い意思を感じ、感動しました。使い古された題材でも、技術と工夫次第でまったく新しいものに生まれ変わる、と言う意味で一応ものづくりを生業としているものとしてはかなり刺激になりました。素晴らしかったなぁ〜。



⑦TENET テネット

ノーランの新作「TENET テネット」が7位。まったく大作がなかった本年でしたが、この映画のおかげでスクリーンで大作を観れる喜びを再確認しました。賛否ある本作ですが、ともかくこれでもかとチャーミングで、かつノーラン的ロマンティシズムに溢れたとてもキュートな映画だったと思います。今年公開だったということも含め、忘れ難い一本に。



⑧ナイチンゲール

8位は「ナイチンゲール」。序盤、主人公が1人になってしまうあの地獄の一夜、あの部屋で起きたこと、赤ちゃんの泣き声が起きてる地獄っぷりに拍車をかけ…久々に映画観ててまじで吐きそうになるくらい気持ち悪くなりました。ここがなにより凄まじかったな〜。復讐の旅に出てから、ラストにかけて、映画全体で訴えかけてくる「歴史」というものの身も蓋もない暴力性を突きつけられた一本でした。ラストシーンも忘れ難いです。



⑨娘は戦場で生まれた

9位はドキュメンタリー「娘は戦場で生まれた」。シリア内戦のど真ん中にある病院を舞台にした作品ですが、映像の凄まじさという一点をとると今年トップの映画でした。ともかく凄まじかった。中でもある妊婦さんのお腹から赤ちゃんを救い出すシーンでは、劇場の観客の息を呑む音が聞こえるほど、色んな意味で奇跡的なシーンがこれでもかと撮られていましたね。撮ろうと思って撮れるものでもない映像ばかりですごかったです。



⑩青くて痛くて脆い

10位は「青くて痛くて脆い」。今年のナーメテーター枠。こんなにキッツイ話だとは思わなかった…。嫉妬、エゴ、恋愛感情、コミュニケーションの歪み、などなど全てを間違った方向にこじらせ、禍々しい心の暗部に強制的に向き合わせられる地獄の青春映画でした。俺たちも、いや誰にでもこの地獄は起こり得たかもしれない!と思っちゃう。すごい気持ち悪いんだけど、すごいわかる気もする。不思議な闇の魅力がある映画でした。





【ワースト3】

①キャッツ

②事故物件 恐い間取り

③アルプススタンドのはしの方


今年のワースト3です。
③はイイ映画だとは思うし魅力的な部分もかなりあったんですが、小中高野球部で今も夏の甲子園を予選から追ってる野球ファンとしては、野球まわりの描写に物凄い不満がありあえてワーストに入れました。詳しくは過去記事を↓


②は、シンプルにつまらなかった。今年はいいホラーが多かった分、落胆がすごかったです。


①は、「おもしろい」と感じる瞬間が一瞬もなく、どこを楽しめばいいのか探していたら映画が終わってしまいました。好きとか嫌いとかいうより、無の映画でした。




【ベストガール】
工藤遥さん/「のぼる小寺さん」

映画自体がまずめちゃくちゃ素晴らしかったんだけど、その中心にいた工藤遥がともかく素晴らしかった。くどぅーの身体性そのものというか、壁を登るというその嘘偽りないアクション自体が映画そのものを引っ張るし、なによりそこが魅力的でないと成立しない映画なので、ほんとに素晴らしかったと思います。ハロプロ視点から見ても感慨深いものがありました。



【ベストガイ】
マ・ドンソクさん/「悪人伝」

近年では本当に貴重な、「顔面で物語を進めることができる俳優」マ・ドンソク。「悪人伝」はほんとにマ・ドンソクの魅力全開で非常に楽しみました。終始極悪なんだけど、どこかチャーミングという絶妙なバランスですね。



【ベストシーン】
「ミッドサマー」のアバン

今年もいろいろといいシーンがありましたが、個人的にグッと来たのは「ミッドサマー」のアバンタイトル部分。ぶっちゃけ旅に出る前の一家心中シーンが1番異様で禍々しくかつ映画的で、アリ・アスターすげぇ!となりました。この人は何撮ってもすごいんだろうなと、このアバンで思わされました。



【ベスト エマ・ストーン賞】
ケイトリン・デバーさん/「ブックスマート 卒業前夜のパーティデビュー」より

今年のエマ・ストーン賞はブックスマートの主演ケイトリン・デバーさんになりました。8年連続8回受賞のエマ・ストーンがなんと賞を逃すという初めての事態に。ケイトリン・デバーの素晴らしいコメディエンヌっぷりに感動しました。今後の活躍にも期待です。



【その他、映画以外で良かったもの】

The Last of Us Part2

PS4のゲーム、The Last of Us 2。賛否両論ですが、私は文句なく素晴らしいストーリーだったと思います。復讐や暴力というものには終わりがないという事実をゲームという媒体の特徴をフルに活かした方法で突きつけてくる。今年トップレベルでつらい体験をしました。大変に素晴らしかったと思います。



Ghost of Tsushima

今年の個人的な流行語は「誉」だなというくらい、ハマりました。なにより映える画面。そしてこれまでのオープンワールドアクションのいいところを詰め込んだ様な完成度。とにかく楽しかった一本でしたね。



ザ・ボーイズ シーズン2

ドラマ「ザ・ボーイズ」のシーズン2も素晴らしかった!なにより今回から登場したストームフロントさんの極悪っぷりと彼女の真の正体。彼女の存在で変化していくホームランダー。そしてキモさに拍車がかかるホームランダー。などなど、見応えたっぷりのシリーズでした。大統領選間近という配信タイミングもハマってました。



マンダロリアン シーズン2

サイコーー!!!!サプライズの数々に涙涙。これに関しては言うことがありません。以上。



呪怨 呪いの家

三宅唱監督×高橋洋脚本で「呪怨」を撮ると聞いてワクワクしまくったわけですが、期待通り、そして期待以上の出来で圧倒されました。高橋洋の味わいが案の定めちゃくちゃ濃かったのが良かったし、脚本の平成実録事件を軸とした構成、呪怨というものの再解釈も素晴らしかったなぁと思いました。