アス
「私たちはアメリカ人だ」
上映時間:116分
監督:ジョーダン・ピールさん
出演:ルピタ・ニョンゴさん、他
ジョーダン・ピールの新作「アス」、とても楽しみにしていた映画だったので初日に観てきました。おもしろかったです!
「お前ら一体なんなんだよ!」「私たちはアメリカ人だ」と序盤で堂々とアメリカ批評を宣言し、ドッペルゲンガーホラーというかゾンビ映画に近いおもしろさでグイグイ物語を引っ張っていった本作。自分たちと見た目がそっくりの赤い服を着た謎の存在「私たち」が「私たち」を襲い乗っ取りにくるというホラーですね。
ゲットアウトにもあった、起きてることは恐ろしいのになんか笑っちゃうという場面の作り方、シニカルな笑いの入れ方は今回はゲットアウト以上にうまくいってて、劇場もかなり笑いに包まれてたりしました。特に某シーンでN.W.A.の某曲が高らかに流れるシーンは選曲と諸々の文脈含め最高で笑いました。アクションはもうちょっと工夫があってもよかった気もするけど、意外と速攻で悪い事態が進行していくスピード感はかなり好きでした。
前半の悪い事態が起きそうな予感からのいざアクションという展開は楽しめましたが、後半がちょっと物足らず。だんだん展開が弛緩していくのは少なからず感じたし、クライマックスはちょっと言葉で説明しすぎな気がしてどうせならもうちょっと全てをうやむやに、多く謎を残すような物語にしてもよかった気もします。主人公の正体が実は…あの時…という最後の最後は気味が悪くもあり、でも地下の彼女たちに感情移入して「やったぜ感」も感じたりですごくよかったです。
ラスト付近にあの赤い服集団が手を繋いでいる場面はよくわかんなかったが、本当に行われたチャリティの引用らしく、その辺はたまむすびの町山さんの解説で補完。
ジョーダン・ピールの特徴だとは思うけど、ジャンル映画的なおもしろさはしっかりあるにはあるんだけど、どっちかというとアメリカ批評的な側面・監督のメッセージがジャンル映画を食っちゃうんですよね。それが特徴だし、いいことであると思うけど、個人的にはちょっとそこが前に出すぎな気がするというか、個人的な好みとしてはあくまでもそこは味付けとして取っておいてほしい…というのが、ゲットアウトとアスの2本を見た感想だったりします。とても楽しみましたが。