メランコリック/今年一番劇場の雰囲気が良かった! | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。




メランコリック

今年一番劇場の雰囲気が良かった!
上映時間:114分
監督:田中征爾さん
出演:皆川暢二さん、他



アトロクのガチャに当たったので、東京出張の合間に久々の渋谷アップリンクで鑑賞。良い映画体験でした!


正直話はどんなのか知らないまま、予告も見ないまま観たんですが、すげぇ独特な雰囲気の不思議な空気が漂う映画でした。正直、最初は「この演技バランスはどうなんだろう…」と思うようないかにもちょっとコントっぽい誇張された演技ではじまるんですよね。これこのまま行って大丈夫かなぁと思ってたんですが、なぜかこれがハマっていくんですよね。妙なグルーヴが生まれてきて、劇場の熱がどんどん上がっていくのを肌で感じ、後半は劇場がずっと爆笑に包まれるという超ハッピー空間に。内容は陰惨なはずなんだけどなんか笑っちゃう。映画館全体がマジックにかかったような、これぞ映画館で映画を観る醍醐味だなっていう空気感を久々に感じて、それだけでかなり満足しました。ただやっぱりこの演技バランスがダメな人はとことんダメだろうなと思います。僕も劇場がアガッてきてなければ、ダメだった気がしなくもない。

ただキャラクターはみんな魅力的でみんな忘れがたい。バディ化していく主人公と金髪のやりとりとかすげぇ笑ったし、風呂屋の主人もいい感じ。あと主人公の家族の、特に後半の爆笑をかっさらっていくあの雰囲気とか、あとやっぱりあのヒロインの可愛さ。あまりに可愛いしちょっとさすがに理想化されすぎなヒロインな気もするけど、彼女の魅力はとてつもないものがありました。


コメディとしては楽しめたんだけど、「欲を言うと…」というところがかなりあるにはある映画だと思います。まぁこれが味だからと言われればそれまでなんだけど、少なくとも序盤にもっとほんとに心底恐ろしい恐怖描写が1つ欲しかったかなと。正直おもしろいにはおもしろいんだけど、なんか少しパンチが足りないというか軸になる見せ場となるシーンが1つあっても良かったのではないだろうか。ほんとに彼女や家族が危なくなるシーンとか、ホラー的スリラー的楽しみがもっと欲しかった気はします。あとラストのラストが急に主人公のナレーションでなんか良い映画風にまとめるんだけど、あれはいらなかったかなぁと。「あぁ、まとめにきたなぁ…」と思っちゃいました。あとテーマをそのまましゃべっちゃってるように感じたのもなんか最後の最後にもったいないなぁと思いました。

まぁでも残酷になりそうでならない、実はブラックだけどハートフルなコメディというところが味な気もするし、これはこれでいいのかしら。

ま、てなわけで個人的にはとにかく劇場の雰囲気が素晴らしく良かったので、諸々の物足りなさも全然オッケーな一本になりました。好きです。