ライオン・キング/「リアルであること」と「おもしろさ」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 

ライオン・キング

 

「リアルであること」と「おもしろさ」

上映時間: 119分

監督: ジョン・ファブローさん

 

 

 

「ライオン・キング」の実写版観てきました。監督は大好きなジョン・ファブロー。ジョン・ファブローの監督作ってどれもけっこう好きで、特に好きなのが「エルフ サンタの国からやってきた」です。これ観てない方はぜひ。僕の人生ベストクリスマス映画だったりします。てなわけで、僕もそれなりに楽しんだ「ジャングルブック」が成功したからか次は唯一いた人間キャラクターを排除し人間なしで「ライオン・キング」。オリジナル版は大好きなので、どんなもんかなと観てみましたが、僕は残念でした。

 

 

最先端技術を駆使してただオリジナルと同じ話をリアルに実写化したからといって、オリジナルと同じようにおもしろくはならない、ということがわかる一本だと思いました。オリジナルの肝であった手書きの動物たちのイキイキさ、細やかな表情、まさにアニメーションの気持ちよさと快楽がたっぷり詰まったオリジナルでしたが、これには到底かなわず。技術はすごいし確かにリアルな動物に観えるけどもじゃぁそれによって映画がおもしろくなったのかと言えば決してそうではなく、物語はなんの工夫もなくそのままなので逆に物語の古臭さが露呈。これって僕は意味のない実写化なのでは…と思いました。

 

最近のディズニー実写ラッシュすべてに言えることだけど、最先端の技術や莫大なお金を使って実写にしてリアルにしたからと言っておもしろくはならないよね。実写にしたことによる意味が物語に生きてこないと、やっぱり画面そのものにマジックが起きまくっているオリジナルのアニメーションには勝てない。「リアルさ」と「おもしろさ」は決して比例しない…ということをすごく感じるここ数年だったりします。そういうことではないんだよなぁ……と思うのです。あともうこの手の動物CGお披露目会みたいな映画はもう飽きました。

 

 

今ライオンキングを改めて語ることに、「技術見せたい」以外に何も感じないのがなにより残念。しつこいですが、それってやる意味あるの?とほんとに思います。ジョン・ファブローである意味もあまり感じず。クライマックス周辺のスカーとシンバの闘いは、それに至るまでの展開も決着の仕方もなんだかぜんぜん盛り上がらず、「ジャングルブック」にあったケレンもなく、ほんとになんとなく帰ってきてなんとなく対峙してなんとなくスカーが落っこちて勝利という。画面も寂しかったし、カタルシスドバドバな盛り上がりもなく、普通につまらなかったです。感情が無でした。

 

ディズニーさん、次はあの世紀の駄作「マレフィセント」の続篇だし、ちょっとしばらくディズニーに対するモヤッモヤを抱きつつ映画と対峙することになりそうです。新しいクリエイティブを生み出すディズニーを俺は見たいのだが、それはまだまだ先になりそうです…。僕はあらゆる意味で残念な一本でした。