よこがお/戦慄の筒井真理子 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

よこがお

 

 

戦慄の筒井真理子

上映時間: 111分

監督: 深田晃司さん

出演: 筒井真理子さん、市川実日子さん、他

 



深田晃司監督最新作「よこがお」を観てきました。実は私は深田晃司作品は1本もまだ観てないので、これが初・深田晃司作品になりました。今年ベスト級におもしろかったです!最高の映画でした!!

 

 

まったくどんな話なのか知らないまま観ました。こんな話なのか!と驚き。というかそもそも僕この映画まったく観る気がなかったというか、そもそも情報がなかったので知りもしなかったんだけど、たまたまこの日観る予定だった「新聞記者」と「僕がイエス様が嫌い」の間の時間にバシッとハマる映画がちょうどこの映画だったからという理由だけで観たんですが、ほんと観てよかったなぁと。結果この日一番はこの映画でしたし。こういうのがあるから、たまには気にもしてなかった映画を事故的に観ることって大事なんだよなぁとしみじみ。


まぁしかし「被害者」と「加害者」の狭間にスッポリとハマってしまった筒井真理子、そこから這い上がる道をこれでもかと閉ざされ、進化前のホワイト筒井真理子っぷり(ちょっと抜けてる感じも良い)がドライブして、どんどんどんどん闇の沼に落ちていく変貌ぶりが実にイヤな感じで最高。そこから筒井真理子が進化しブラック筒井真理子になってからは、その存在感の危うさと妖艶さが全開になりあまりに存在自体がスリリングで目が離せません。今作はそのホワイト筒井真理子とブラック筒井真理子の時間軸が行ったり来たりするんだけど、この時間軸の入り組ませ方も非常に良かったし、編集が素晴らしいですよね。観客を掴んでグイグイ引き込こんで話さない撮影と編集とそして音楽。そして演技。素晴らしい。


あと何気ない会話、お互い腹の底を見せるような、心が通じ合えた、という会話こそが、その後決定的に足元をすくわれることになるという、この人間のコミュニケーションというものの絶望っぷりもキツくて良かったです。



筒井真理子も素晴らしかったんだけど、市川実日子も素晴らしかった。もう出てきた瞬間から、こちらも筒井真理子とは違った方向で危うい。その危うさが、決壊しちゃうという。そしてまさに愛が憎になってからももう胃がキリキリキリキリ。事が起きてからの筒井真理子と市川実日子が対峙するシーンはどれもスリリングだし、それが極に達する後半の公園での対峙は劇盤のケレンも相まってもうタマラねぇものがありました。ここは最高のシーンでした。そしてラストの車越しの対峙も、最後の最後までたまらんものがありました。僕が映画に求めるスリリングさがこの映画にはモリモリに盛られてて、けっこうまじで今年ベスト級の映画的興奮を得られました。最高すぎました。


いや〜他にもオッ!というシーンとか不思議なシーン、うますぎる…というシーンなどまた見直したいくらいたまらんシーンだらけでした。いきなり犬になる夢のシーンとか、セックス中押入れに入ってる妄想とか、その後全裸で眺める向かいの部屋の窓とか、なんか忘れがたいシーンばっかりだなぁ。


まぁ間違いなく今年のベストテンには入ってくる1本になりました。最高に好きです。