ホットギミック ガールミーツボーイ
空飛ぶ0.02ミリ
上映時間: 119分
監督: 山戸結希さん
出演: 堀未央奈さん、他
山戸監督は初期から大好きな監督なので、今回も楽しみにしておりました「ホットギミック ガールミーツボーイ」を観てきました。今まで山戸監督作品にはグッときっぱなしでしたが、今回はなぜかダメでした、合わなかった…。
序盤はとてもおもしろかったです。というかかなり好きで、やっぱり山戸さんってこういう人だよなぁという作家性バキバキの画面、演出、セリフでとても浸れました山戸ワールドに。中でも序盤の序盤、乃木坂のエースがコンドームを投げ捨てるというシーンはすげぇよくて、まったく話始まってないしなにも全容は見えないけど、うわ~山戸作品やっぱいいぜ~という気持ちになりました。現役国民的アイドルのエースに妊娠検査薬とコンドーム0.02ミリを持たせ「わかんないよ」と困らせるという、やっぱこの監督はこういうちょっと意地悪なところがありますよね。好きです。
作家性全開でこの少女漫画原作のメジャー映画を山戸色に染め上げることに躊躇がない感じはとてもよくて、観るものを圧倒させようというメラメラとした気合はとても感じますし、その静かなメラメラ感こそ山戸作品の…というか山戸結希の好きなところだったりします。無難に仕上げるということはもうはなから眼中にない感じ、この気概は今の日本のメジャー映画で一番大事なもののような気もするので。しかもそれを山戸さんがやってるという事実はとてもうれしかったり。溺れるナイフの時もそうでしたが。
でも今回はそういううれしい気持ちはありつつも物語にはぜんぜん乗れなくて、さらにですね、この「山戸結希的世界」にちょっと胃もたれしたというか、ぶっちゃけあきちゃったんですよね。「溺れるナイフ」の時もちょっとそういう気はあったんですが、ちょっとこの手法、この作家性で長編は僕にはまだキツくて、ずっと全力疾走状態の映像を見せられるんですよね。メリハリがないというか、作家性が息切れしてるというか。これが長編ではなく、ホットギミックではなければ…なんて思ったりしますが、でも山戸監督がこれを長編でホットギミックでやるから意味があるようにも思うし、個人的にはちょっと複雑な感じです。
物語は、恋愛映画・青春映画大好きな私ですが、もうなぜかすげぇどうでもよくて、出てくる人間全員にイライラして、感情移入の先がなく、どこに物語の中心があるのかよくわかんないまま観終わっちゃいました。とりあえず、男どもは全員張り倒したいし、ラストシーンのお前!それでいいのかよ。最後の最後に堀ちゃんがあいつをけり倒してたら100点でしたが、いまいちすべてが腑に落ちない物語展開と行動原理で、まぁ思春期だから…なんて言葉ですべて片が付きそうなところもなんか嫌で、映画的手法と作家性に体が慣れ始めた中盤以降はちょっと退屈でした。