海獣の子供/2001年海中の旅 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

海獣の子供

 

2001年海中の旅

上映時間: 111分

監督: 渡辺歩

出演: 芦田愛菜さん、石橋陽彩さん、他

 

 


予告の映像がなんだかすごかったので、原作未読でどんな話かよくわからないまま、惹かれて観に行ってきました。なんだこの映画は!と圧倒されました。

 

 

とにかくこの映画のカルトっぷりに驚愕しました。一体この映画はどこに向かいどんな風景を見させてくれるのか、観てる間まったくわからないんですよね。我々のルールとは、全く違うもっと大きなルールで動く宇宙規模の祭り、文字通り祭りをただただ見てるしかない凄みをバシバシと感じました。


ただ画面が凄まじいので画面を見てるだけで飽きないんだけど、中盤からまじで何を見せられているのー?とまったくわからなくなり、必死に追ってたらちょっと最近でも珍しいくらいの大トリップ映像祭りを見せられてもう瀕死状態でエンドロールを迎えて米津さんの音楽を聴いてたら、歌詞が出るんですけどこの音楽、その歌詞を追ってると「あ、こういうことが言いたい映画だったのかしら」と少し気づき、エンドロール後の映像で、「あぁ」とさらに少し納得し、思考がやっと追いつくという凄まじい旅でした。そう旅。結局この映画は観終わってみるとものすごく「2001年宇宙の旅」っぽかったなぁ!と思ったのでした。



まさに「2001年宇宙の旅」ならぬ「2001年海中の旅」。もしくは、ジュブナイル版「2001年宇宙の旅」な、様相。


なにがモノリスでなにがハルなのかはいろいろ当てはめられそうですが、まったく我々とは違うルールの生命体が、人間を、というか1人の少女を次の段階に進化・成長させる話で、エンドロール後の映像を見終わり振り返ってみると、壮大な話を描きつつも、テーマ自体は「1人の少女の成長」というところに落ち着いて、なんか結構まっとうなジュブナイルだったなぁと思います。


「成長」って、いろいろあるけど、大きくは生と死を知ることだと思うんですよね。で、生と死を描くには、「性」を描くことは必然だと思うんです。で、よくよく考えると、この映画、すげぇエロいんですよね。みんなの子役、芦田愛菜ちゃんをキャスティングしてるからすごく罪悪感はあるし、それを狙ってるなら製作陣の変態っぷりは本物だと思いますが。なんにせよ、たぶんこの映画は壮大なエロスを描こうとしてると思うんですよ。後半の祭りはもう誰にも明らかなくらいかなり性のメタファーが濃厚で。見れば見るほどあれはあれのメタファーなのでは!とか、母なる海とは言いますし、この映画が出産で終わるということも含めれば、これはもう確実に心だけではなくまさに心身ともに少女が成長する話なんじゃねぇかなと思ったんですよね。って、いいつつ芦田愛菜ちゃんだからすげぇなんか罪悪感あるんだけど、でもこのキャスティングはぜったい確信犯的な狙いだと思います。もうさ、後半の祭りはあれはもう壮大なセックスだよぜったい!笑


そんなわけで、まぁなにが正解がわからないけど、なんかすげぇもん見た!とすごい、満足感がありました。原作も読みたいのと、あとなんといってもこの映画、ドキュメンタリーがあるらしく、その予告を見るとさらにぶっ飛んでそう….そちらも楽しみにしております。すごかったです。