運び屋/可愛すぎるぜイーストウッド | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 

 

運び屋

 

可愛すぎるぜイーストウッド

上映時間: 116分

監督: クリント・イーストウッドさん

出演: クリント・イーストウッドさん、ブラッドリー・クーパーさん、他

 

 

 

イーストウッドの新作、しかも「グラントリノ」以来の監督主演作ということで、すごく楽しみにしておりました。とてもよかったです。

 

なんといってもイーストウッドが演じるアールさんがすごくいいんですよね。仕事一筋といえば聞こえはいいんだけど、要は家庭はほったらかしで、常にフラフラと調子よく、外でチヤホヤされたい絶妙なチャラさ!「おっとここは美人コンテスト会場かい?」なんていう序盤のチャラ爺っぷり一発でこいつがどんなキャラクターなのかを納得させるという、なんというか絶妙なチャラさとそしてしっかりカッコいいたたずまい。なかなか今まで見てこなかったイーストウッド像がここで出てきてとてもよかったです。グラントリノの真逆ですよね(笑)

 

 

予告から想像していた「伝説の運び屋!ドヤッ」みたいなダークさは正直ぜんぜんなく、どちらかというとコメディでしたし、全体的にユーモラスな雰囲気がありました。アール爺さんの言動一つ一つがなんか笑えるし、なんかおもしろい。すげぇダメおやじなんだけどなんか憎めない、はっきり言って可愛いんですよね。イーストウッドによるアイドル映画ですよこの映画は!

 

 

まぁこの映画麻薬を運ぶっていうド級の犯罪ではあるんだけどさ、でもひとりの老人がこんな老人でも新しい仕事をはじめ、自分の人生を見つめなおし、罪を認め、何歳でも爺でも、人間は変われるし成長できるんだな!と、主人公が90近いおじいちゃんだからこそ、より感じました。頭が固い、頑固だ、なんていわれるおじいちゃんでも、変わろうと思えば変われるんだなぁと。

 

どんどんとシンプルな作劇・演出になってきているイーストウッドですが、そのシンプルさが極まるところまで極まったなぁと思いました。シンプルになればなるほど、ただごとではない演出力がむきだしになってきてて、そういう意味でも年を取るということのポジティブサイドを見せつけられたような気がしました。とても楽しみました!