スパイダーマン スパイダーバース/ここではない別の次元に | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 

スパイダーマン スパイダーバース

 

ここではない別の次元に

上映時間: 117分

監督: ボブ・ペルシケッティさん、ピーター・ラムジーさん、ロドニー・ロスマンさん

出演: シャメイク・ムーアさん、ジェイク・ジョンソンさん、他

 

 

 

大評判で賞も総なめ、スパイダーマン スパイダーバースを観てきました。とても良かったです。感動しました。

 

 

まずまぁ聞いてはいたけど画面がすごかったですよね。画面の情報量が凄すぎて、脳の情報処理が追いつかないんですよね。ぼーっとしちゃうというか。僕は時間の都合で吹替で観たんですが、吹替で正解でした。字幕があったら間違いなく追えていないんじゃないかなぁと思います。コミックが動くということの快楽をここまで追求して、しかも今までになかった新境地に到達してしまう作り手の熱量と腕力と工夫に画面を観てるだけで感動しました。久々に「絵が動く」ということの快楽をビキビキと感じました。

 

 

そして、なにより物語が良かったですね。スパイダーマンという存在をみんながもう当たり前に知ってて、コミックの世界観や映画のあのシーンやあのシーンまで登場する非常にメタな作り。しかもこれまでの様々なスパイダーマンも多元宇宙的に全てが違う世界線で全て存在しているという世界観。まずこのスパイダーマンというものへのリスペクトと愛情に感動。さらにそと世界線が混ざり合い同じ世界線にスパイダーマンが何人も登場するというオールスター要素もありつつ、新たなるスパイダーマン誕生たんとしても機能させる。この手際の良さと脚本の洗練されっぷり

 

ここで感動するのはさ、ヒーローって孤独なものじゃないですか。その悩みや葛藤や孤独は自分自身で解決し向き合っていくしかないんですよね。なんで俺だけこんな思いをしなきゃいけないの?なんで俺だけ?って。それってさ、現実で生きてる僕らのことでもあるじゃないですか。みんなそれぞれがさ、なんでこんな大変な思いをしなきゃいけないの?とか、どうしようもない不条理とか困難、孤独と向かい合わないといけない瞬間って生きてるとあるじゃないですか。で、この映画の1番感動したところは、「こんなの僕だけだ」と思っていた全く同じ悩みを持ち同じ孤独を持つ仲間が、この世界線にはいないかもしれない、でも、別次元にはきっといる!というこの孤独な我々を包み込んでくれる肯定感なんですよね。マイルズが別次元のスパイダーマンと悩みや葛藤を共有して、乗り越え成長していく。これってさ、僕らがコミックや映画やアニメーションや音楽に、同じように、救われ、元気や勇気をもらい、背中を押してもらってきた、そのこととものすごく重なるんですよね。孤独だった時、元気がない時、もうダメかもなと思った時、そんな時に、フィクションから元気や勇気をもらい、俺は1人じゃねぇと、仲間がいると、思わせてくれたフィクションや芸術への讃歌なんですよねこの映画は。コミックなんて、映画なんて、たしかにこの世には存在しないですよ。でも、コミックの世界、映画の世界には確かに存在するんだよ。そしてその別次元から僕らは勇気をもらってきたんじゃん!と、なんか「フィクション論」としてこの映画にすごく感動しました。(だんだん何書いてるかわからなくなってきた。)フィクションという、別次元の物語がなぜ必要なのか?なぜ僕らがこれほどまでに夢中になり元気をもらえるのか?その概念を可視化されたような映画でした。だからこそ、マイルズの成長とラストの決断に感動するというか。フィクションをフィクションの場に返して、自分はそこからもらった勇気を持ってして、現実世界と戦っていくという。これは、僕たちの物語だったんだなぁと思いました。

 

なんかもう一回観たくなってきたなぁ。僕は大好きな映画になりました。