グリーンブック
KFCが食べたくて
上映時間: 130分
監督: ピーター・ファレリーさん
出演: ヴィゴ・モーテンセンさん、マハーシャアラ・アリさん、他
この間行われたアカデミー賞で、まぁ大方の予想通り作品賞を取ったグリーンブックを観てきました。それにしても素晴らしいタイミングで公開になって、GAGAさんは笑いが止まらんでしょうな。
てなわけで、グリーンブックはとてもいい映画でした。が、いわゆるいい映画という感じで、そのいい映画という枠から出ないタイプのいい映画でした。年に何本かありますよね。すごくいい映画だとは思うけど、正直年末になると全然印象に残ってないたぐいのいい映画って。個人的にはグリーンブックはその枠で、たぶん年末には何も覚えてないだろうなと思います。でも、いい映画ではあるんです。
ほんとにお手本のような映画で、古典的なロードムービーだけど、小道具とか細やかな演出に物語を語らせて2人の距離感を演出する、小粋ないい映画でした。ですが、個人的には、映画的に跳ねるシーンがなく、個人的にはちょっと全体的になにか物足りない映画だったかなぁと思います。
思い返してみると、ファレリー監督は所謂いい話というやつから、はみ出してくる映画にグッとくることが多くて、そのはみ出し部分にこそ彼の個性やメッセージが込められてたと思うんですよね。しかし、今回の映画は正直ぜんぜんはみ出してこない、安全運転的ストーリーテリングに見えて、正直あんまりファレリーが監督する意義を見出せず、ファレリー監督作としてはちょっと個性がなさすぎる、普通すぎると思いました。
この映画ならではのオリジナリティってぜんぜんないし、なんかどっかで観たようなシーンの数珠つなぎに見えたなぁと。ラストで「ニガーはやめろ」と主人公が言う100万回くらい観たシーンにいたるまですべて教科書通りの安全運転だったなぁと思ってしまいました。
しかし、いい映画なので、いいシーンもたくさんあります。個人的に1番良かったのは手紙ですね。妻に送る手紙がどう変化していくか、マハーシャラ・アリから、手紙の書き方を教わり、どう変化するか、そしてなんといっても最後の妻の一言、彼女はわかっていた!というところも含めて、小粋だしうまいし、とてもいい手紙演出でした。
あとは、なんといってもKFCですよ。ケンタ食いてぇ〜〜となり、帰りはケンタ食って帰りました。ヴィゴのケンタの汚い食い方が無性にうまそうでした。なんで時々食うケンタッキーってあんなうまいんだろうね。
てなわけで、この映画のあらゆる要素の中でいちばん印象的だったのがケンタッキーフライドチキンでした、というくらい、全体的に印象に残らない映画でしたね。