ビハインド・ザ・カーブ 地球平面説
地球は平面である!と信じる人々を追う
上映時間: 96分
監督: ダニエル・J・クラークさん
出演: 地球平面説論者のみなさん、科学者のみなさん
最近家でカロリーの高い映画とか海外ドラマを見るのがしんどくて。フラっと見れるドキュメンタリーとかTVシリーズを寝る前にNetflixで流すことが多いんですが、そんな中で何気なく見始めたこのドキュメンタリーがすごくおもしろかったのでちょっとだけご紹介。
地球は球体であるというのは、みんなが知ってることだし、そう教わるし、まぁ普通に生きてればそこに疑問を持つことなんて特にないわけですが。しかし、この映画が追いかけるのは、「地球が球体っていうのは、そう思わせるための政府の陰謀だ!実は地球は平面なんだ!」と本気で信じてる人々と、その地球平面説を信じる人々のコミュニティを追ったドキュメンタリー。地球は平面!球体は陰謀!って信じてる人のドキュメントだよ?おもしろくないわけないでしょ?笑
で、最初は観ながら「何言ってんだこいつら頭おかしいんじゃねぇか」とか笑ってみてるんだけど、最後の方はなんだか言葉にできない切なさと悲しみで胸がキューっとなるようなドキュメンタリーでした。
まず驚いたのが、当然といえば当然だけども、地球平面説の提唱者はまじ普通の一般人なんですよね。普通の人なんですよ。科学に興味があって勉強してきたような科学者じゃなくて(当然だが)、まじ普通の人がなぜかいきなり地球は平面であるということに目覚めてくんですよね。
彼らが彼らなりに小学生の夏休みの実験のような素朴な科学実験をやって、地球は平面である!ということを証明しようとする様子はすごくワクワクしました。あぁ〜科学に興味を持ちはじめるのってこんな感じだったなぁみたいな。作中で科学者の人たちも、理由はともあれここから科学に興味を持ってくれたらうれしいということを言ったりして、まぁこれくらいなら微笑ましいんですよ。しかし、ほんとにだんだん冗談じゃ済まなくなってくる規模まで信者が増えていくのがおもしろいんですよねこれが。
結局、彼らはどんなに実験して失敗しても、こんなのはおかしい!と失敗を見ないようにして次の証拠集めに走るので、実験が成功しようが失敗しようが、平面であることを信じることになんの変化もないんですよね(笑)
じゃあなんで信じるのか?っていうところが、後半だんだんわかってくるんですが、ようはもう引くに引けないんですよね。地球は平面だ!って言って活動をしてる以上、普通の人には戻れない。そんな中、同じ志を持つ人々に出会っちゃってコミュニティがどんどん大きくなってくると、やっと通じ合える仲間を裏切ることになるし、みんなで努力してきた分とてつもない疎外感をまた感じちゃう。つまりもうここにいるしかないんだよね。この構造がすごく組織論、宗教論としてわかりやすく提示されててすごくおもしろかったし、めちゃくちゃ切ないところでもありました。
なんかこの人たち、ほんとに居場所がなくて、やっと見つけた居場所が、この地球平面説コミュニティなんだなぁってのが、わかってさ。無邪気に実験とかして、楽しそうにしてる姿を見るとなんともいえない気持ちになって。あらゆる、根拠を示して徹頭徹尾論破してそんなアホな理論粉々にしてあげたほうがいいよ!って気持ちもあったけど、最終的には「もういい!もういいよ!地球は平面でいい!」と彼らを認めてあげたくなるというか、とてつもなく同情の気持ちが湧き上がってきます。この状態で、例えば逃れようのない何か根拠を彼らに突きつけたとして、なんかそれはあまりにもかわいそうな気がするというか、ここまでくるとなんか見てられないよ。なんかなんとも切ない気持ちになるドキュメンタリーでした。
Netflixに入ってる人はぜひ。
僕はとてもおもしろかったです。