女王陛下のお気に入り
今年のベスト・エマ・ストーン賞はこれで決まり
上映時間: 120分
監督: ヨルゴス・ランティモスさん
出演: オリビア・コールマンさん、エマ・ストーンさん、レイチェル・ワイズさん、他
「籠の中の乙女」「ロブスター」「聖なる鹿殺し」のヨルゴス・ランティモス監督最新作。いつも非常にヘンテコな設定の映画を撮る監督ですが、今回は一見ちゃんとした歴史ものでアカデミーでめっちゃノミネートされてます。脚本ははじめて自分で書いてないみたいでなんだか納得。しかし人が書いた脚本とはいえ、やはり今回も非常に彼の作家性がビンビンの一本に仕上がってましたし、なんなら作家性が純化されたようにも見えます。不思議なもんですね。
てなわけで、「女王陛下のお気に入り」とても楽しみました!そして、今年のベスト・エマ・ストーン賞はこれで決まりだなと思いましたね。
まず、この映画の一番の見所はエマ・ストーンのおっぱいが見れるところです。怒られそうだが、これは否定できない事実なのです。デビュー時からエマ・ストーンを追いかけてきた私としては、ついにこの時が来たか…と感慨深いものがあり、見たかったような見たくなかったような、そんな様々な思いを抱えながらエマ・ストーンのおっぱいと向かい合うこととなりました。もう7年もベスト・エマ・ストーン賞という賞レースを勝手に行っておりますが、エマ・ストーンが脱いだ!この事実だけで、今年もエマ・ストーンが8年連続8回目のベスト・エマ・ストーン賞に輝くであろうと、確信しております。しかも!なんと!エマ・ストーンによる手コキシーンまであります!もう最高としかいいようがありません。
という冗談はさておき、今回はほんとにエマ・ストーンがめちゃくちゃハマってました。正直ここまでエマ・ストーンが役にハマったのって「Easy.A」以来だと思います。エマ・ストーンの魅力って、その美しさと可愛さの中にある若干のガラの悪さだと思うんですよ。自然とFワードが出てくる感じというかさ。だいたい最近のエマ・ストーンってFワードに振るか、可愛いに振るか、どっちかだったと思うんですが、「そのどっちも!」という今回はまじピッタリだったと思います。のし上がってくたくましさと、不意に見せる可愛さみたいなバランス、演じ分けが見事でしたし、これはエマ・ストーンよりもハマる女優がちょっと思い浮かばないですよね。あの枯葉でいっぱいの原っぱで男とわちゃわちゃするシーンのエマ・ストーンっぷりとかほんとに素晴らしいと思いました。まぁしかし、今回の主演三人の女優はみんながみんな素晴らしくて、気持ちがいいほどの女優合戦で、圧倒されましたね。
お話もほんとおもしろかったですね。これまでなら、構造的に男と女でやってた話だけど、そこを(実話だけども)女と女でやるというのがおもしろかったし、フレッシュでした。男は総じてバカだし、役に立たないという感じも良くて、アホな男どもなんかほっといて、それこそ適当に手コキで手懐けて、真にこの空間を支配するのは女たちという、このたくましさと晴れやかさが全体を包んでて僕は大好きなバランス。化粧をして着飾ってるのは男で、顔に傷を付けたり、体を張ったり、銃をぶっ放すのは女!この構造の気持ち良さにグッときました。
しかし、この映画、他人が書いた脚本とはいえものすごくランティモス的な話でした。実はランティモスにとってははじめての他人が書いた脚本ってのがおもしろいところですよね。作家性強い監督あるあるだけど、他人が脚本書いたほうが、自分の作家性が整理され純化され、なんなら多くの人々に届いたりしちゃう。ニコラス・ウィンディング・レフンにおける「ドライヴ」がそうでしたよね。で、だいたいこの次の映画がわけわからんくらい作家性暴走しがちというのもあるあるだと思いますので、何気に次回作もすごく楽しみです。
「籠の中の乙女」からランティモスは有名になりましたが、やっぱりこの監督はどの映画も「籠の中」にいる人々の七転八倒を描いてますよね。籠の中から、外に出よう出ようとする、その必死な姿を俯瞰で見るとなんだか笑えてくるみたいなバランスが彼の味だと思います。そして、今回もまさにこの王宮という籠の中の七転八倒。ラストで「やっと籠の中に出れた!」と思っていた彼女、でもぜんぜんそんなことなかった!という絶望。「外に出れたとでも思った?でもね、所詮あなたもウサギちゃんなのよ」とでも言わんばかりのラストシーンのウサギに次ぐウサギ。ウサギのカサカサ音がよりその絶望を深める、なんともシニカルなラストにニヤリとしました。とても楽しみました。