準備ってマジ大事
上映時間: 97分
監督: クリス・スミスさん
出演: 金持ちCEO、セレブ、ミュージシャン、社員、バイト、客
話題のドキュメンタリー「FYRE」をNetflixで観たのですが、これがめちゃくちゃおもしろかった!Netflixに加入してる人にはぜひ観ていただきたい恐ろしい1本となっております。
とある金持ちCEOが、アプリを開発しまして。FYREというんですが、アプリでパーティやイベントにアーティストを呼べるというもので、このアプリを大々的に宣伝したい!てなわけで、ここは一発フェスをやろう!ということでフェスを企画するんですが、、というお話。
そんでまぁそのフェスがまぁやばい。島を買って(しかも元々エスコバルの島w)、そこで高級テントに高級な食事、お酒に豪華アーティストに、美女モデルに、オーシャンビュー。そんな期待を大いに膨らませるこんなコマーシャル動画がバズリにバズリ、高級チケットは即完売。この動画がまた凄いんだ、トップモデルのオンパレードですよ。しかもそのトップモデルたちがSNSに乗っけて拡散するもんだから、そりゃイケてるフェス最前線な雰囲気が出来上がる。宣伝だけを取ると、ほんとうに素晴らしい出来だし、SNSを使った宣伝としてもお手本のような拡散が出来てる。ここまでは、よかったんですよ。ここまでは……。
こちらがその動画。
てなわけで、フェスの準備がはじまるんですが、根本的にまず時間が足りないんですよ。具体的に買った島をどう変化させて泊まり込みのフェスが開催できるレベルまで持っていくかというヴィジョンがまったくないまま始まってるので、チケット売った後に準備を始めてるわけです。なにより重要なのはインフラですよね。水はどうするの?トイレは?電気は?まったくなにもない島なので、そこからなわけです。これって途方も無い作業ですよね。いきなり何もない島に少なくとも数万人の人間が生活できる環境を作らなきゃいけない。それだけではなくとうぜんフェスだからステージから音響までライブが、しかも高水準でできる環境を整えなきゃいけない。このとてつもない作業を、上層部はかなーり甘く考えてるという現実。寝ずになんとか実現させようと頑張る社員と、笑いながらよろしくーって感じで酒飲んで笑ってる上層部。社員たちのたまるストレスと焦燥感、不信感。この組織のダメっぷり、ものすごーく普遍的だし、ほんっとによくあるよね。たまたまこうやって例が例だけに可視化され、笑われてるけど、根幹は「すぐそこにある恐怖」だと思います。だからこそ、笑いながらも背筋が凍る、恐怖映画でもありました。僕も少なからず経営者の端くれというか片足突っ込んでる者なので、ものすごーく背筋が伸びたし、最高で最悪の例として、この映画は心に留めておきたいと思いました。全ての要素を最初から最後まで間違え続けると、こうなる、という現実が、これでもかと描かれております。全ての経営者、イベンター、必見だと思いますよ。
もう後半は目も当てられません(笑)島が無理ってことで陸に移動し、ホームページでは陸をトリミングして島に見せかける、だとか。案の定インフラは不十分、高級テントも避難テントに、全ての準備が間に合わない、ボロボロになる社員、逃げ出すトップ、借金まみれ、アーティストの出演キャンセル、追い討ちのように降り注ぐ前日の大雨、ビッショビショになるテントのマットレス、そんな中始まるフェス、おかしいことに気づく客、寝る場所がない!水がない!食べ物これかよ!募る怒り、帰るにも帰る手段がなく、客のホームレス化、寝るためのマットレスを奪い合う客、暴徒化する客、もう手のつけようがない状況、このままじゃ殺されると逃げ出す運営、SNSで拡散されまくる醜態の数々、などなどなど。もうほんとに素晴らしいですよ(ニンマリ)
これが、地獄というやつか!
ほんとに当たり前のことなんだけど、準備ってマジ大事。そのヴィジョンは実現可能か?具体的になにが必要か?ちゃんと現場を見ているか?現場の声を聞いてるか?
う〜〜ん。心に留めておこう。
あと、トップモデルたちのSNSによる拡散で始まったこのフェスが、フォロワー数百人の来場者があげたチーズサンドで、決定的に終わるというこの皮肉。皮肉だし、すげぇ現代っぽい。結局、運営も客も、SNSのごとく、実態のないなにかを追いかけてただけだったのかな。まぁ運営が本気で追いかけてもなかったというのが、どうしようもないところなんだけどね(笑)ちなみに、この運営、このフェスによって詐欺で起訴されたり大変だったわけですが、なんとまたおんなじような詐欺で起訴されてやんの!ぜんぜん懲りてねぇのかよ!(笑)
ともかく最高の映画でしたので、ぜひに。