【映画感想】「ROMA ローマ」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 
 
ROMA ローマ
 
 
水の作家キュアロン
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上映時間:135分
あらすじ:お手伝いさんクレオの日々
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アカデミー賞最有力候補の1本でもあるアルフォンソ・キュアロンの新作「ROMA ローマ」を観ました。
 
素晴らしかったです……!
 
映画.comのあらすじです。

「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロン監督が、政治的混乱に揺れる1970年代メキシコを舞台に、とある中産階級の家庭に訪れる激動の1年を、若い家政婦の視点から描いたNetflix製ヒューマンドラマ。キュアロン監督が脚本・撮影も手がけ、自身の幼少期の体験を交えながら、心揺さぶる家族の愛の物語を美しいモノクロ映像で紡ぎ出した。70年代初頭のメキシコシティ。医者の夫アントニオと妻ソフィア、彼らの4人の子どもたちと祖母が暮らす中産階級の家で家政婦として働く若い女性クレオは、子どもたちの世話や家事に追われる日々を送っていた。そんな中、クレオは同僚の恋人の従兄弟である青年フェルミンと恋に落ちる。一方、アントニオは長期の海外出張へ行くことになり……。2018年・第75回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で、最高賞にあたる金獅子賞を受賞。

 
モノクロで紡がれる70年代のメキシコ、そこで描かれるのはキュアロンの幼少期の記憶を元に再現されたというある裕福な家庭と、そこで働くお手伝いさんクレオの物語。前半は何気ない日常がモノクロで淡々と描かれるんだけど、とにかく撮影が凄まじいんですよね。キュアロン自身が撮影もやってるんですが、どうやって撮ったの?という相棒ルベツキ譲りの長回しとか、ロングショット、構図、すべてがとてつもなく美しいのです。オープニングが床からはじまるんだけど、これほんとにただの床なんですが、これがすごいんですよ。ただの床ですよ?笑 ここで一気に引き込まれます。その他にも冴え渡る、長回し、ロングショット、横移動、と何気ない日常がまったく何気なくなく見える超絶撮影には脱帽です。
 
中盤は暴動が起きたり、出産、からの死産、クソみたいな男たち、強く生きる女性たち、という様々な要素がありますが、その全てのシーンで様々な水(液体)がとても印象的に使われていて、クライマックスも海が舞台となっていたり。これまでのキュアロンのフィルモグラフィーを思い出しても、やっぱりキュアロンは水の作家なんだなぁと思いました。生や死や、精神的に生まれ変わる、そんなシーンには必ず水がそこにあって今作のクライマックスなんてものすごくキュアロン的なシーンだなぁと思いました。いろんな映画を撮ってるけどやっぱりすごい強烈な作家性のある人だなぁと思います。原点回帰的作品であると彼自身が言ってるけど、これを観て改めて彼の過去作を見直すとものすごくスッと腑に落ちる感覚があると思います。
 
 
過去の誰か大切な人の人生に、振り返って寄り添い映画として語り直すこと、この企画自体がすごく映画的だし、ここで映し出された彼女の出来事や人生はちょっと忘れがたいなぁと思いました。映画館で観たかった…。
 
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好き度:80点
素晴らしかったです。
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