きみの鳥はうたえる
この奇跡的な関係性。誰かが成長したら終わり。
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上映時間:106分
あらすじ:モラトリアムなう
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予告がなんとなく良さそうだったので、観てきました。三宅唱監督作品は初めて観ました。
おもしろかったです!
映画.comのあらすじはこんな感じ。
「そこのみにて光輝く」などで知られる作家・佐藤泰志の同名小説を、柄本佑、染谷将太、石橋静河ら若手実力派俳優の共演で映画化した青春ドラマ。原作の舞台を東京から函館へ移して大胆に翻案し、「Playback」などの新鋭・三宅唱監督がメガホンをとった。函館郊外の書店で働く“僕”と、一緒に暮らす失業中の静雄、“僕”の同僚である佐知子の3人は、夜通し酒を飲み、踊り、笑い合う。微妙なバランスの中で成り立つ彼らの幸福な日々は、いつも終わりの予感とともにあった。主人公“僕”を柄本、友人・静雄を染谷、ふたりの男の間で揺れ動くヒロイン・佐知子を「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」で注目された石橋がそれぞれ演じる。
年間ベストにも入れた「夜空はいつでも最高密度の青色だ」で素晴らしい存在感を放っていた石橋静河さん。もう彼女の名前を見ると劇場に行ってしまうほど、彼女にはなんか説明できない魅力があって、今回も劇場に吸い込まれてしまいました。
今回の映画は石橋静河が魅力的でないと映画として成立しないわけですが、今回も最高の存在感を発揮。素晴らしいよ石橋静河!染谷将太、柄本佑のこの3人の奇跡的な相性の良さというか、優しい穏やかなグルーヴがほんとに良いんですよね。
あとこの映画のクラブのシーンはほんとに良くて、今まででいちばん納得のいくリアルなクラブシーンだったと思います。買い物に行ったり、散歩したり、クラブで踊ったり、ダーツしたり、そんな何気ないシーンが愛おしく感じる映画でした。
ただ、この関係性はずっと続くわけではないなぁとなんとなく観てる方は感じるし、登場人物たちも感じてるだろうし、なんというのか、モラトリアム期の一瞬の無の輝き、無の尊さみたいなものをすごく感じて、観てるだけで愛おしくなるんだなぁ。
染谷将太が自分の家族のことで、実家に帰ることで、この3人の関係は終わりを告げます。染谷くんは家族と向かい合うことで(向かい合ざるを得なかったのだけど)、彼は明確に成長して、モラトリアム期から脱したんですよね。だから、3人で繊細な奇跡的なバランスのモラトリアムで成り立ってた関係性は終わりを告げる、誰かが成長したら3人の関係は終わるっていうのは、なんだかとても腑に落ちました。
ひと夏のマジックアワー的なモラトリアム期の奇跡的な、3人のあの時間がなんだか死ぬほど懐かしくなるような、自分の懐かしさみたいなものをグッと掴まれたようなそんな映画でした。いい時間を過ごさせていただきました。
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好き度: 80点
とてもよかったです
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