【ドラマ感想】「マニアック(Netflix)」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

マニアック(Netflix)

 

フィクションのキャラクターに自分を投影する僕ら。

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監督: キャリー・ジョージ・フクナガさん

脚本: パトリック・サマーヴィルさん他

出演: エマ・ストーンさん、ジョナ・ヒルさん、他

あらすじ: 怪しい薬を飲んで、怪しい治験

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ダニー・ボイルが007新作から降板(やったーー!!)、そして後任として呼ばれたのがキャリー・ジョージ・フクナガさん(やったーー!!)。この「マニアック」の監督さんです。そんなタイミングでもあったし、主演がエマ・ストーンとジョナ・ヒル。そうみんな大好き「スーパーバッド 童貞ウォーズ」の2人ですよ!あれから10年くらいでしょうか。二人ともすっかりスターになっちゃって。ここで久々に共演ということで、とても楽しみにしてました。

 

「マニアック」、とてもおもしろかったです!!

 

青春映画の傑作「スーパーバッド」はこちらです。

 

 

Wikiから拾ったあらすじはこんな感じ。

『マニアック』は、日系の製薬会社ネバーディーン・バイオテックの行う謎めいた治験に参加するアニー・ランズバーグとオーウェン・ミルグリムを追う。アニーは母や姉妹との関係に悩む、これという目的のない女性であり、オーウェンは統合失調症と診断されたニューヨークの富豪の五男であり、二人とも人生はうまくいっていない。あらゆる心的問題を解決するという新薬が開発され、二人は他の10人とともに製薬会社で三日間の新薬試験に参加する。

 

なんかさ、映画とか小説とかのフィクションを摂取してるときに、気づいたら「あれ、これ俺じゃん」みたいな感じでものすごく感情移入して、自分を投影して、今までフィクションだったものが、フィクションという壁を越えてくる瞬間って時々あるじゃないですか。それにはファンタジーだったり、時代劇だったり、マフィアものだったり、そんな舞台建ては関係なくて、その登場人物が「自分だ」とかこの状況「自分だ」とか思うことあるじゃないですか。その究極系がこのドラマで描かれてるようなことなのかななんて思ったりしました。観終わった後や読み終わった後は、そのフィクションの登場人物同様に救われたり、成長したりなんかして、フィクションだったものがフィクションを超えて我々の心というノンフィクションに電波してくる瞬間ってあるよね。そんな現象をドラマ化したような作品だったなと僕は思いました。(なんだそりゃ)

 

つまり、これってセラピーですよね。自分を何か別のセカイに投影させて、自分のセカイに通じてるけどでも何処か違うセカイを体験することで、ちょっと心のしこりがとれたり、ちょっと成長したり。僕たちがフィクション世界を体験することの大事さというか、可能性?というか、尊さみたいなものを僕はこのドラマから受け取りました。空想、妄想、投影、感情移入、ケッと馬鹿にされることもあるかもしれないけど、でもなめんじゃねえぞと。フィクションの可能性というか、物語作品というものの可能性を感じましたし、この作品はキャリー・ジョージ・フクナガなりの物語論になってるんじゃないかななんて思いました。

 

しかもおもしろいのはすべて自分の脳内で完結するんですよね。まさに脳内完結型セラピーですよ。あれ、今年こんな映画、どっかで観たぞ…そう「未来のミライ」に実はとても近い作品なんじゃないかなんて思ったり。

 

 

物語の舞台や設定がコロコロ変わっていくこのドラマ。エマ・ストーンとジョナ・ヒルの芸達者ぶりがとても際立ってましたね。どちらもベストアクト級。スーパーバッドから10年くらいたって、それぞれがいろんな作品で腕を磨いてきて、ここで今再び…という感慨深さがとてもありました。

 

あと美術も可愛い。超ハイテク近未来なことをやってるのに、ガジェットがすごくレトロなこのアンバランス感がおもしろく、可愛かったです。そこにカチッとはまってるソノヤ・ミズノのたたずまいも印象深いところでした。

 

なにか映画やドラマや小説や、フィクションを摂取し、そこから成長をもらってきた人間にはとても刺さりました。現実では体験しえない体験を擬似的にすることで得る何か、でも体験しえないセカイの中にいる人間は自分としか思えないキャラクターだったりして、そこに自分を重ねたりして、僕らはそうして勇気をもらってきたし、この作品からもまた、何か勇気をもらったなと、そんな素敵なラストシーンでした。ほろりと感動しました。

 

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好き度: 80点

すごくおもしろかったです。

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