SUNNY 強い気持ち・強い愛
映画的なマジックは模倣できない
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監督: 大根仁さん
脚本: 大根仁さん
出演: 篠原涼子さん、広瀬すずさん、板谷由夏さん、山本舞香さん、他
上映時間: 119分
あらすじ: サニーのリメイクです
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あの「サニー 永遠の仲間たち」をリメイク、しかも大根仁監督、という色々と楽しみ半分不安半分だった本作、観てきました。
まぁまぁでした(`∀´)
映画.comのあらすじはこんな感じ。
2011年に製作され、日本でもヒットした韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」を篠原涼子、広瀬すずの主演、「モテキ」「バクマン。」の大根仁監督でリメイクした青春音楽映画。90年代、青春の真っ只中にあった女子高生グループ「サニー」。楽しかったあの頃から、20年以上という歳月を経て、メンバーの6人はそれぞれが問題を抱える大人の女性になっていた。「サニー」の元メンバーで専業主婦の奈美は、かつての親友・芹香と久しぶりに再会する。しかし、芹香の体はすでに末期がんに冒されていた。「死ぬ前にもう一度だけみんなに会いたい」という芹香の願いを実現するため、彼女たちの時間がふたたび動き出す。現在の奈美役を篠原、高校時代の奈美役を広瀬が演じるほか、板谷由夏、小池栄子、ともさかりえ、渡辺直美らが顔をそろえる。90年代の音楽シーンを牽引した大ヒットメーカー、小室哲哉が音楽を担当。
中身は想像以上にサニーで、いわゆる見せ場というか泣かせどころも想像以上にサニーそのものでした。韓国版からの大きな改変は、80年代後半の軍事独裁政権下のあの混とんとした雰囲気の中での青春が、本作は90年代中盤の東京になってましたね。僕は92年生まれなので、ちょっと上の世代なんだけど、それでも80年代を舞台にした韓国版よりも、今回のほうがしっくりきたり、曲や文化にグッときたりするところは多かったかなぁ。特に一番グッときたのはCharaさんの「やさしい気持ち」、あそこはすげぇあってたし世代的にも選曲的にもすごくよかったと思います。
あとキャスティングもよかったんじゃないかしらと思います。特に大人パートのメンバーは全員ぴったりだったし、真木よう子さんが降板したため、代役になった板谷由夏さんでしたが、とってもあってたし、頼れる兄貴感がとても出てました。小池栄子、渡辺直美のノリノリの演技も見てて楽しかったし、ともさかりえは何より素晴らしかった。そして、篠原涼子。90年代小室ファミリーである彼女がこの役をやるという文脈も含めて、とても合ってたし、彼女以外はちょっと考えられないかなぁと思います。
しかし、子供パートは確実に韓国版に負けていた…と思いました。まず広瀬すず、可愛すぎる、ダサく見えない。小池栄子とともさかりえの子供時代の2人があんまりキャラ立ちしてないし、なんかかぶる。とかこの辺が気になったかな。ぽっちゃりの彼女と池田エライザは存在感があってイイ。そして、なによりこの映画で一番輝いていたのは山本舞香さんでした。彼女の圧倒的な魅力というか、画面支配力がずば抜けていて、あまりに輝きすぎててクラッとしました。完全に彼女が画面を支配していました。素晴らしかった。
ただこの映画、なんというのかな、明らかに韓国版と比べると、マジックが起きていない、というのが一番残念だったところでした。まぁリメイク作品の宿命でもあると思うんだけどね。役者同士のマジック、映画的マジック、すべてを模倣して90年代日本に書き換えた結果、オリジナリティのないどこかで見た希釈された何かになってて、この映画ならではの、90年代日本にしたからこその、このメンバーだからこその「何か」が見いだせなかったというのが残念でした。特に80年代軍事政権下さなかの韓国での青春という舞台建てがかなり作品に厚みを持たせていた韓国版に比べると、曲や文化の記号だけで90年代日本だからこその厚みが決定的に欠けていた日本版はやっぱ比べると弱いよなぁと思いました。
あと最後の池田エライザはどうにかならなかったのか、大団円的なラストはいいにしてもどうしても池田エライザ2人に目が行って目が行って(笑)
ま、でもこんなもんでしょう。この舞台建てで韓国版に匹敵する魅力をだせっていうのが、そもそもムリゲーなのかもなぁなんて思いますし。じゃぁリメイクすんなよって話かもしれないけど、まぁリメイクってものの宿命ですな。
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好き度: 60点
山本舞香さんは最高でした!
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