ウインド・リバー
この土地自体が、凶器である
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監督: テイラー・シェリダンさん
脚本: テイラー・シェリダンさん
出演: ジェレミー・レナーさん、エリザベス・オルセンさん、ジョン・バーンサルさん、他
原題: Wind River
上映時間: 107分
あらすじ: ホークアイとスカーレットウィッチが殺人事件捜査
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「ボーダーライン」も「最後の追跡」も大好きで、かつ今回はとてもバイオレントな臭いがしてたので、楽しみにしていた「ウインド・リバー」を観ました。
すごかったです(゚Д゚)
映画.comのあらすじはこんな感じ。
アメリカの辺境を舞台に現代社会が抱える問題や現実をあぶりだした「ボーダーライン」「最後の追跡」で、2年連続アカデミー賞にノミネートされた脚本家テイラー・シェリダンが、前2作に続いて辺境の地で起こる事件を描いた自らのオリジナル脚本をもとに初メガホンをとったクライムサスペンス。第70回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞。主演は「ハート・ロッカー」のジェレミー・レナーと、「アベンジャーズ」シリーズのエリザベス・オルセン。ネイティブアメリカンが追いやられたワイオミング州の雪深い土地、ウィンド・リバーで、女性の遺体が発見された。FBIの新人捜査官ジェーン・バナーが現地に派遣されるが、不安定な気候や慣れない雪山に捜査は難航。遺体の第一発見者である地元のベテランハンター、コリー・ランバートに協力を求め、共に事件の真相を追うが……。
どんな物語でも最終的には西部劇に行きつくタイラー・シェリダンさんの脚本は今回もまさに現代の西部劇の様相でした。なんといっても舞台立ての特殊性、これは初めて知って勉強になったし、なにより超怖いし、すごかったですね。様々な理由から無法地帯と化してるこの保護区がまず不謹慎ながらまぁ映画としてはめちゃくちゃおもしろいですよね。冒頭の、少女の死因がマイナス何十度で走って逃げたことで肺が出血して血がたまり、自分の血で溺れるという…これは確かに殺人ではなくて、でも直前に彼女はレイプされ殺されかかていてその場から逃げていたときに起ったことで、じゃあこれは殺人ではないのか?でも殺人にしないとFBIは動けず…という非常に論理的で、かつ様々な変な決まり事や法律の穴をかいくぐってくるような事件でこの設定も見事でした。
少女を失った親、というものの描き方もすごく良くて、この事件の両親の悲しみったらないですよね。リストカットしまくってる母親という描写も鮮烈だったし、娘をなくした父親同士のあの悲しみの共有とか、もう辛すぎて。また、だんだんと事態を把握し、真の絶望を目の当たりにしたエリザベス・オルセンが成長していくさまも良く描けていました。ジェレミー・レナーとだんだんとバディ感が高まっていく感じもグッときました。
突発的に起きる銃撃戦も素晴らしくて、ものすごくリアルでした。映画的なケレンとかなく、周りに何も身を隠す場所がない場でのあのリアルな銃撃戦、ずたずたになりながら、もうその場で撃ち、撃たれるしかないという…あれはほんと恐ろしかったです。
物語の決着も見事で、冒頭の少女の死をもう一度、犯人に反復させることで、ますます恐ろしさが増してたし、まぁ怖かったです。何よりも、「この土地自体が凶器」である、ということを鮮烈に見せられたし、その「この土地自体が凶器」であることが物語を観終わると、この恐ろしいほどの寒さもそうだけど、なによりこの土地の無法地帯化している現状とか、国のあれやこれやとか、これまで何人の人間がこうして死んでいったのか、だれにも知られないまま死んでいったのか、とか、とても多重的な意味を持ってて、すごくうまいなぁと、そして恐ろしいなぁと思いながら見てました。この映画の主役はまぎれもなくこの土地だったなあと思いましたし、そう思えたということはこの映画は間違いなく成功しているということではないでしょか。
この言葉を言っていいのかどうか迷うところですが、めちゃくちゃおもしろかったです。
なんか深刻な感じにならざるを得ない映画でしたが、最後にあほな視点でのおすすめポイントを、それは、一瞬出るエリザベス・オルセンのお尻(Tバック)です!!
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好き度: 80点
怖かったです…
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