ブリグズビー・ベア
作品にする、ということの美しさ
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監督: デイブ・マッカリーさん
脚本: ケビン・コステロさん、カイル・ムーニーさん
出演: カイル・ムーニーさん、マーク・ハミルさん、ジェーン・アダムスさん、他
原題: Brigsby Bear
上映時間: 97分
あらすじ: 映画を撮ります
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ちょっと遠出をして大評判を聞いていた「ブリグズビー・ベア」を観てきました。
優しい良い映画でした( ;∀;)
映画.comのあらすじはこんな感じ。
赤ん坊の頃に誘拐され、偽の両親のもとで彼らが制作した教育番組「ブリグズビー・ベア」だけを見て育った25歳の青年が、初めて外界に出たことから巻き起こる騒動を描いたコメディドラマ。外の世界から隔絶された小さなシェルターで、両親と3人だけで暮らす25歳のジェームス。子どもの頃から毎週届く教育ビデオ「ブリグズビー・ベア」を見て育った彼は、現在はその世界の研究に没頭する日々を送っていた。そんなある日、シェルターに警察がやって来て、両親は逮捕されてしまう。これまでジェームスが両親だと思っていた男女は、実は誘拐犯だったのだ。ジェームスは生まれて初めて外の世界に連れ出され、“本当の家族”と一緒に暮らすことになるが……。スタッフ・キャストにはテレビ番組「サタデー・ナイト・ライブ」のチームが集結。ジェームスの育ての父親テッドを「スター・ウォーズ」シリーズのマーク・ハミル、カウンセラーのエミリーを「ロミオ&ジュリエット」のクレア・デーンズがそれぞれ演じる。
これは放射能に汚染された未来の地球を描いたディズトピアSFか?というミスリードからはじまる本作は、実は小さいころに拉致された子供がマッドな夫婦に監禁されて育てられていたということがわかり、その時に観ていた「ブリグズビー・ベア」という教育番組のヲタになっていた主人公が、新たなる環境でその教育番組の続編を撮りはじめるという映画製作青春映画へと変貌するというまさかの展開がまずおもしろかったです。
映画製作の寓話としておもしろくて、映画が純粋に好きで純粋な気持ちのみで映画を撮りたいだけなのに!という世界中の監督という生き物をえがいているようにも見えて、様々な困難や不条理がありつつもでも自分の根源にある制作意欲がまわりに波及して最終的には不特定多数を感動させるという、映画製作のライトサイドを描いていて感動しました。この映画、クリストファー・ミラー&フィル・ロードが製作な訳だけど、これを観た後だと「ハン・ソロ」が同じ時期にやってることがすげぇ皮肉に見えるのがおもしろかったです(笑) ロード&ミラーにとってディズニーはこの映画で描かれるあの精神病院だったかwなんて思いました。
主人公の周りの人間の優しさにもグッときました。ちょっと周りが優しすぎかなぁとか、うまくいきすぎかなぁなんて思わなくもないけど、そこも含めて、製作側の優しさとこうなってほしいという願望があふれ出ててほっこりしました。
あと、グッときたのはマーク・ハミル!最高!彼がやることでいろいろな意味が生まれる絶妙なキャラクターでしたし、頭はおかしいけどそれでもしっかり彼を愛してることは確かだろうし、彼の頭のおかしい制作意欲が、なんだかんだで息子を突き動かすものになったという、このいびつだけど美しくもある疑似親子関係にすげぇなんかグッときちゃいました。世間からは変態だとか、サイテーだとか、正論ではどうかもしれないけど、でも彼にとってはこのブリグズビー・ベアこそがすべてであったし、それを作品に昇華するということの美しさをすごく感じました。なにが制作意欲になろうが、まわりには関係なくて、ただ自分の中にあるその意欲を形にすること、そしてその気持ちがまわりを突き動かす、これぞ映画監督というものの理想なんだろうなぁと感慨深かったです。
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好き度: 80点
おもしろかったです(・∀・)
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