【映画感想】「ぼくの名前はズッキーニ」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

ぼくの名前はズッキーニ

 

最も切ないビールの空き缶

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監督: クロード・バラスさん

脚本: セリーヌ・シアマさん

原題: Ma vie de Courgette

上映時間: 66分

あらすじ: 孤児院で暮らします

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大評判を聞いていた「ぼくの名前はズッキーニ」がようやくこちらでも公開されたので観てきました。

 

とても良かったです( ;∀;)

 

映画.comのあらすじはこんな感じ。

母親を亡くし孤児院に入れられた少年が周囲の人々との関わりの中で成長していく姿を描き、第89回アカデミー賞の長編アニメーション部門にノミネートされたスイス製ストップモーションアニメ。アルコール依存症の母親と2人きりで暮らす9歳の少年ズッキーニ。ある日、ズッキーニの過失によって母親が死んでしまう。親切な警察官に保護されて孤児院で暮らすことになった彼は、新たな環境の中で自分の居場所を見つけるべく悪戦苦闘する。フランスのアヌシー国際アニメーション映画祭で長編部門の最高賞にあたるクリスタル賞と観客賞をダブル受賞。日本では、東京アニメアワードフェスティバル2017の長編コンペティション部門に出品・上映され、優秀賞を受賞している(映画祭上映時タイトル「ズッキーニと呼ばれて」)。

 

 

まずこの映画、僕は吹き替えで観たんですが、主人公の男の子の声はなんと銀杏峯田、ヒロインの女の子を麻生久美子、警察官をリーリー・フランキーがそれぞれ声を当てていて、これがとても良かったです。アンマッチ感が絶妙で、大人が子供に語りかけてるような吹き替えで、これはこれでグッときちゃったなぁ。

 

お話ですが、けっこうハードで序盤から驚きました。まさかの自分で(事故的にだけど)アル中の母親を殺してしまうというはじまりなんですよね(;´Д`) そこから児童養護施設に預けられ…というお話なわけですが、施設にいる子たちのバックボーンもそれはそれは重いもので…とても悲しい気持ちになるんだけど。だがしかし、そこからちょっとずつ、子供たちの団結が強くなっていき友情が生まれてくる過程とそれによって少し各々の心が晴れていく過程の描き方がほんとに素晴らしい映画でした。とにかくどの子も顔がイイ。シンプルな人形アニメなんだけど、とてつもなく繊細に作りこまれていて、感動しました。2頭身の人形なんだけど、もうそこにいる人間にしか見えなくなってくるほど、キャラクターの感情が描けている映画なのです。特にシモンですよね。シモン!!彼の変化こそこの映画最大の号泣ポイントでした…。

 

 

この映画、小道具の使い方も素晴らしくて、小道具で泣かせるし、切なくさせるし、感動させるんですよね。あの施設にある、自分の今のキモチを天気で表してみようというボードとか、ほんと素晴らしいですよね。あれがどう変化するか、誰の感情がどう動いたかとか。あと、主人公が持ってる凧とビールの空き缶も良くて…ビールの空き缶は亡き母の形見として主人公が持ってるんだけどこれが切なくてね…。アル中で暴力的だった母の、もう諸悪の根源なわけじゃないですかビール缶って。でも、それでも、主人公にとっては、母親を忘れないための唯一のモノがビール缶なんですよね。もうこの切なさ。ビール缶を「なんだこれー」と奪って茶化すシモンくんたちに「やめて!!!」と怒る主人公にすげぇもうあれ涙が出ました。凧も良かったなぁ。あの凧が最初と最後でどう変化するか、物語のテーマから考えてもあれが凧である理由がほんとに素晴らしいし良くできてますよね。

 

子供にとって、自分をわかってくれる人、受け入れてくれる人、そばにいてくれる人の存在がどれほど大事か、ということを改めて感じましたよ。どんな君でも、損得抜きで、無条件で君を愛するよっていうこの安心感ってすごい尊いものなんですよね。だからこそ、この映画のラストシーンの会話が、切なくも美しくて、いろんな気持ちになりました。いやぁいい映画でした。

 

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好き度: 80点

素晴らしかったです( ;∀;)

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