リズと青い鳥
好きの形
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監督: 山田尚子さん
脚本: 吉田玲子さん
出演: 種崎敦美さん、東山奈央さん、他
上映時間: 90分
あらすじ: 女の子の心が揺れ動きます
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山田尚子監督最新作ということで、気になっていた「リズと青い鳥」を観てきました。僕、ユーフォは途中までしか観てないニワカなんですが…そんな僕が見てもこの映画は、
凄まじい傑作でした!!(゚∀゚)
映画.comのあらすじはこんな感じ。
「映画 聲の形」が高い評価を受けた山田尚子監督が手がける、京都アニメーション制作のテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」の完全新作劇場版。吹奏楽に青春をかける高校生たちを描いた武田綾乃の小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」を原作に、テレビアニメ第2期に登場した、鎧塚みぞれと傘木希美の2人の少女が織り成す物語を描く。北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美は、ともに3年生となり、最後となるコンクールを控えていた。コンクールの自由曲に選ばれた「リズと青い鳥」にはオーボエとフルートが掛け合うソロパートがあったが、親友同士の2人の掛け合いはなぜかうまくかみ合わず……。
この映画、ほんとに想像をはるかに超える大傑作青春映画だと思います。ユーフォ見てる見てないはとりあえず置いといて、一見の価値は絶対にある映画だと思いますのでぜひ劇場へ。
もうとにかく画面の隅々まですべてがちょっとどうかと思うくらいものすごく繊細でベボベのこいちゃん風に言うと「機微まくり」な映画でしたね。僕みたいなガサツな人間がちょっとでも触れると音を立てて壊れちゃいそうなくらい、繊細で、儚く、切なく、美しい。繊細で丁寧なキャラクター描写の積み重ねが、セリフよりも雄弁にキャラクターの心情を語っていたし、なによりセリフが本当のことを言ってるとは限らないというかさ、この映画の「大丈夫だよ」は「大丈夫じゃない」だし、「そんなことないよ」は「そんなことある」だし、だからこそ何気ない仕草や目線がものすごく重要な映画なんですよね。今年トップレベルで、画面のあらゆる情報を読み取らなければならない…という気になった映画で、ものすごく観た後疲れました(笑)そのくらい引き込まれたのです。「撮れてしまった」がない、すべて作為的に作り出されるアニメーションの真髄を観ましたよ。ここ数年で観たアニメーション映画で、いや実写も含めてもここまでキャラクターの揺れ動く心情を、繊細な描写の積み重ねでとらえた映画もそうないんじゃないかしら。ともかく凄まじく精密で繊細な映画ですよね。
恋愛感情云々は置いといて、誰かを好きであるということ、あなたはわたしだし、わたしはあなた、みたいな好きってあるじゃん、あったじゃん。でもさ、決してあなたはわたしではなく、わたしはあなたではなく、わたしはわたしだし、あなたはあなた、なんですよね。あなたはわたしのすべてだと思っていたけど、あなたはあなたなんだ、ということに気付く、切なく苦いけど、でもだからこそ確実に未来に開かれた、まさに未来にキャラクターたちを未来に羽ばたかせてあげる、素晴らしい青春映画だったなと僕は思いました。「好き」にはいろいろな形があって、人間それぞれみんな「好き」の形は違うんですよね。その「好き」のズレと「好き」の変化の映画なんですよねこれ。そのズレと変化の中心にちゃんと劇中の「リズと青い鳥」というお話、及びあの吹奏楽の音楽があって、ある作品・芸術を通して少女たちの心情が変化・成長する、というこの作品と向かい合うことは、自分自身と向かい合うことでもある感というか、この構造がものすごっく好きだし、吹奏楽部映画としてこれ以上ない作りだと思いました。
お互い成長し、それぞれの「好き」の形もいい方向に変わり、未来に開かれたあの階段のラスト。彼女たちのこれからの人生が、どうか幸せなものでありますように。そう願いながら、泣きながらエンドロールを観てました。恐るべき傑作だと思います。ぜひ!
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好き度: 90点
素晴らしい青春映画でした。
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