15時17分、パリ行き
まさかの本人(演技素人)を主演に!
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監督: クリント・イーストウッドさん
脚本: ドロシー・ブリスカルさん
出演: 本人たち
原題: The 15:17 to Paris
上映時間: 94分
あらすじ: 電車でテロリストを撃退
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さて3月に入りまして、仕事がひと段落したのでかなり映画が観やすい生活になったのと、3月になって注目作が一気にまとめて公開されてるということでここ数日は映画漬けの毎日です。
てなわけで、この日は「15時17分、パリ行き」と「シェイプ・オブ・ウォーター」をハシゴしてきました。まずはイーストウッドの新作「15時17分、パリ行き」の感想をちょろっと。この映画、かなり賛否が割れておりますが、僕はというと。
まぁまぁ楽しみました( ・∇・)という感じ。
例によって映画.comさんからあらすじを拝借すると
「アメリカン・スナイパー」「ハドソン川の奇跡」の巨匠クリント・イーストウッドが、2015年にヨーロッパで起こった無差別テロ「タリス銃乱射事件」で現場に居合わせ、犯人を取り押さえた3人の若者を主役に、事件に至るまでの彼らの半生を、プロの俳優ではなく本人たちを主演に起用して描いたドラマ。2015年8月21日、オランダのアムステルダムからフランスのパリへ向かう高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラム過激派の男が無差別殺傷を試みる。しかし、その列車にたまたま乗り合わせていた米空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえ、未曾有の惨事を防ぐことに成功する。映画は、幼なじみで親友同士のスペンサー、アレク、アンソニーの3人が出会った少年時代や、事件に遭遇することになるヨーロッパ旅行の過程を描きながら、ごく普通の若者たちが、いかにしてテロリストに立ち向かうことができたのかを明らかにする。
てな感じ。
まず驚きなのがこの映画の作りですよね。俳優ではなく、本人たちを主役として起用するこの試み。予告の時点ではふつうに無名の俳優だと思ってて、公開直前のたまむすびの町山さんのコラムコーナーを聴いてそこではじめてこんな映画なんだ!と知りましたよ。
なぜ彼らはこのテロを防ぐことができたのか?というその理由というか、裏付けを、彼らが子供のころからさかのぼるんですが、そのどれもはほんとにふつうの人間のふつうの人生なんですよね。しかーし、これは彼らだからできたんだ!というのが最後の10分くらいで一気にわかるというか、人生すべてが伏線だったことがわかるんですね。彼らが友達になってなかったら、そもそも旅行にすら行ってないし、彼らが軍に入ってなければ立ち向かっても負けてたかもしれないし、というそんな大きなタイムラインでの「もしこうだったら」もあるんだけど、すごいのは結構な時間をかけて描かれるテロ直前の彼らのヨーロッパ旅行描写。ここでもかなり細かいところで「もしこうだったら」テロで多くの人が死んでいたかも…という、未然に防げた伏線がかなり張られているんですよね。みんなが「パリはつまんねえからやめとけ」という中、パリに向かうことを決めたこと、Wi-Fiが繋がらないから別の車両に移ったこと、などなど、もしなにか間違った道筋を通っていれば、テロで多くの人が死んでたかも…という恐怖が、観た後振り返ってさらに増幅する作りでした。すべて観た後に気づくというかね。いやぁ人生で起こる出来事ってほんとにとてつもない確率で、無数の選択肢の集積から選び抜かれた中でこの出来事起こってるんだよなと、感じました。そしてそのすごい確率で起こったこの目の前の出来事にいざ遭遇した時、お前はその確率を無駄にすることなく動けるか?という問いかけは重いですが、だからこそあそこで動けた彼らには尊敬しかないし、しかも動けた動機も物語を見てると納得するあたりも良くできてました。
英雄的行動をとった本人たちが語る「運命だった」という言葉についても考えました。意地悪な言い方をすれば後出しジャンケンとも取れるし、成功したからこそこれは運命だとも取れるとも思うんですよね。この微妙なニュアンス、プロの俳優を使ってればちょっと出来過ぎな納得しにくいバランスになってたかもなぁと思ったりするんですよね。だからたしかにこれは本人をキャスティングしたからこそ出る後味かもなと。芸達者な俳優では出ない後味を味わえました。
これはそう見れない映画だなぁと思いつつ、グッときたところはきたんだけど、私としては映画的にちょっと跳ねず。でも、しっかりと楽しみました。
あと、途中彼らが旅行中に会って仲良くなるアジア系アメリカ人の女性、めちゃくちゃ美人だったなぁ。
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好き度: 70点
楽しみました(・∀・)
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