ハンドメイズ・テイル/侍女の物語
いつ起きてもおかしくない…と思ってしまう恐怖
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原作/脚本: マーガレット・アトウッドさん
出演: エリザベス・モスさん、イヴォンヌ・ストラホフスキーさん、ジョセフ・ファインズさん、他
あらすじ: 女性が完全に国に管理されます
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てなわけで、やっと日本で配信が始まった「ハンドメイズ・テイル/侍女の物語」。本国とはかなり遅れての配信。これだけ賞レースを席巻してるのにも関わらずこのスピード感の遅さと、わざわざ毎週水曜日にちょっとずつの配信というチョイだし商法にしてきた日本のHuluさんにはかなりイライラしつつも、まぁしかし無事配信されて一安心しております。てなわけで先行で配信された初めの3話を観てみました。
すげぇっす(;´Д`)
2018年ゴールデングローブ賞 テレビシリーズドラマ部門 作品賞・主演女優賞受賞。第69回エミー賞主要部門制覇。 カナダ文学界の巨匠マーガレット・アトウッドのディストピア小説をドラマ化。全米で社会現象を巻き起こし、世界中で物議を醸し出している衝撃作。行動を極限まで制限された監視下の世界で、どのように今を“生き抜く”かが、主人公の目線を通して力強く描かれる。(Huluより)
てなわけでこの「ハンドメイズテイル/侍女の物語」、お話がまずすごいですね。子供がほとんど産まれなくなって出生率がめちゃくちゃ低くなった近未来のアメリカが舞台。キュアロンの「トゥモローワールド」を思い出しますな。そんな中、政権を取ったのが超キリスト教原理主義の宗教団体。女性は子供を産むために完全に国に管理されるという超不条理な社会が描かれるというディストピアものであります。
この完全管理社会と並行して、なぜこんなディストピア世界になってしまったのか…という回想シーンが描かれるんですが、この回想シーンがめちゃくちゃ怖い。あくまで一般市民の主人公の視点で描くので、一体この国何が起こってるの?と、ちょっとずつアメリカがおかしくなっていく過程がすごいリアルですね。クレジットカードを止められるところから始まり、銀行口座を凍結され、女性のみ会社をみんな解雇され、経済的に自由を奪う。こんなのおかしい!とデモを起こすと、その宗教団体の軍が容赦なく一般市民を発砲!という、この回想シーンがすげぇ怖いけどすごくリアルでほんとに絶望的な気持ちになるわけです(つД`)ノ
そしてさらに絶望的になるのは今現在の主人公たち。もうほんとに不条理&胸糞マックスなシーンのみで構成されているような展開に。
女性たちはセンターというところで徹底的に教育され心を打ち砕かせてから、上流階級の家庭の子供を産むために配属されます。名前も奪われ、主人公はオブ・フレッド(フレッドのもの)と名付けられ、毎晩毎晩、上流階級の婦人が見守る中、主人から種付けをされるという儀式(という名のレイプ)をされ続ける毎日。
自由は完全になく、行動は必ず2人だし、服も修道女のような服を着せられ、規則に逆らったり歯向かうと、目をえぐり出されたり、もっとひどい場所に追放され奴隷にされたり、あとなんといってもヤバイのは同性愛者だと発覚した時。同性愛者は「性の反逆者」とされて、3話の最後の方では同性愛をしたとされた1人は首吊りで処刑され、1人はクリトリスを切除されます。。
完全に女性は子供を産むための家畜として描かれ、ひたすらに不条理で陰惨で悲しいお話で、今配信されてるのは3話だけだけど、正直全くといっていいほど希望が見えないです。この状況、この完全管理社会をどう打破するのか……。
主人公は侍女になる前は子供がいて、その子供は国に奪われたので物語の軸は主人公はまた子供と会うことができるのか…?という感じなんだけど、今のところこれはムリだろ…とひたすら絶望的な気持ちになる本作。とにかくちゃんと絶望的にこの不条理な社会を構築しきった製作陣はすごいと思いました。撮影も素晴らしくて物語の陰惨さとは裏腹にすごく美しいのも効いてます。
この管理社会、正直今の社会のきな臭い感じを見ていると、まったくフィクションには見えない、今後こんな社会がもしかしたら、なにかをまちがえたら、存在してしまうかもしれない…と思ってしまうリアルな恐怖が、この映画が賞レース総なめだった理由かなぁと。
と、まだ3話しか配信されてないのでわかりませんが、とにかくものすごく続きが見たくなるドラマなのでちょい出しにせず一気に全話配信してよ!!
震えながら続きを待ちたいと思います。