唯一の救いは、This Is Me
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監督: マイケル・グレイシーさん
脚本: ジェニー・ビックスさん、ビル・コンドンさん
出演: ヒュー・ジャックマンさn、ミシェル・ウィリアムズさん、ザック・エフロンさん、レベッカ・ファーガソンさん、他
原題: The Greatest Showman
上映時間: 105分
あらすじ: ヒュー・ジャックマンがグレイテストなショーをはじめます
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きたる3月1日、ライアン・クーグラー、ギレルモ・デルトロ、クリント・イーストウッド、そして翌日にはアレクサンダー・ペインの新作がそれぞれ公開されるという近年でもここまで大物がぶつかるのも珍しいなというくらいのお祭りが控えてるので、なんとなくそれまで映画館に行く気にならなかったんですが話題作だし一応観に行ってきました「グレイテスト・ショーマン」。
僕はノレませんでした(´・ω・`)
例によって映画.comさんからあらすじを拝借すると、
「レ・ミゼラブル」でも華麗な歌声を披露したヒュー・ジャックマンの主演で、「地上でもっとも偉大なショーマン」と呼ばれた19世紀アメリカの実在の興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカル。劇中で歌われるミュージカルナンバーを、「ラ・ラ・ランド」も手がけたベンジ・パセック&ジャスティン・ポールが担当した。貧しい家に生まれ育ち、幼なじみの名家の令嬢チャリティと結婚したフィニアス。妻子を幸せにするため努力と挑戦を重ねるフィニアスはやがて、さまざまな個性をもちながらも日陰に生きてきた人々を集めた誰も見たことがないショーを作り上げ、大きな成功をつかむ。しかし、そんな彼の進む先には大きな波乱が待ち受けていた。主人公P・T・バーナムことフィニアス・テイラー・バーナムをジャックマンが演じ、バーナムのビジネスパートナーとなるフィリップ・カーライル役を「ハイスクール・ミュージカル」「ヘアスプレー」のザック・エフロン、バーナムの妻チャリティを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のミシェル・ウィリアムズが演じる。
てな感じ。
とにかく主演のヒュー・ジャックマンのキャラクターにノレなかった…!ここまで感情移入できない主人公も珍しいくらいだったというか。このヒュー・ジャックマン、ほんとに明確なビジョンがなく熱意だけが先走るダメな中小企業のワンマン社長のようだったんですよ(笑)
ほんとに最後まで彼がほんとに何をしたいのか、なぜこの興行を行うのか、というビジョン・野望が「名声を得たい」以外に見つからずひたすら自分の野望を叶えるためにまわりを巻き込んでひたすら迷惑をかけていくワンマン経営者を見てるようでキツかったです。結果はたまたまうまくいったけど、結果オーライだし、周りがなんとかしてくれるという他力本願っぷりにいらっときました。
これは脚本の問題だと思うんだけど、さすがにヒュー・ジャックマンの「これがしたい」「なぜこれをやるのか」という明確な動機の部分はもっとちゃんと描くべきだったと思うんですよね。食いっぱぐれてた幼い頃にリンゴを差し伸べてくれたのがだれだったか……という使えそうな材料はあるんだけど、なぜこの興行を行うのかの目的はあくまで「金と名声」がほしいからでしかなくて、もうひとつ大事な部分が足りないような。いきなり大金の借金を抱えて、家族の意見や生活はほっといてという前半から、後半まで、この主人公の成長がぜんぜん感じられず。最終的に散々迷惑をかけた主人公をそのまま周りが赦して許容してあげる形でおわり、ショーで初心に戻るぜ!いちからまたみんなで力を合わせてやり直しだ!と思うと、取ってつけたような「家族も大事」的なテーマが最後の最後に挿入されるので、テーマが確実にブレブレになったラストだったと思います。テーマの、このどっちつかずで、あいまいな感じがノレない最大原因だったような気がします。
そんな中この映画で唯一感動的でカタルシスを感じたのはアカデミーでもノミネートされてる曲「This Is Me」!これはほんとに素晴らしくて、なぜかというと観てた僕の気持ちと映画の中の人物たちの気持ちがしっかり合致したシーンがここだけだったからです。こんなワンマン経営者おかしいよ!俺たちはどうでもいいのかよ!と、ブラック企業のバイトたちが唯一叛旗を翻す、そのモヤモヤを言葉にし形にした、感情と音楽が見事に合致した素晴らしいミュージカルシーンでした。
が、カタルシスのピークは中盤のこのシーンで、それ以降まったく映画として跳ねない。同じような展開の「SING/シング」にノレて、これにノレなかった原因はカタルシスの置き場所かなと思います。最後までヒュー・ジャックマンの空っぽさにノレないし、彼は変わらない。もう一度やりなおしたショーの中心もあくまで自分で、いいところでショーを降りた理由も自分の家族の元へ行くため。とにかく自分自分自分のまま最後までいくこの変わらなさブレなさが、成功には必要な要素なのかなと思いつつ、こんな社長にはぜったいについて行きたくないなと思いました。
私がこの映画のミシェル・ウィリアムズなら、確実にいく先は「ブルーバレンタイン」だと思いました。
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映画は基本的にタイトなほうが好きですが、この映画に関しては各エピソードの描きこみが足りないなと感じました。フリークスの心情、ヒュー・ジャックマンの心情、ラストのあいまいな展開等々。
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好き度: 40点
お話にノレませんでした( ´・д・)
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