散歩する侵略者
「しょうがないなぁもう!」
と、夫に付き合う長澤まさみは
ホントに尊いということ
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監督: 黒沢清さん
原作: 前川知大さん
脚本: 黒沢清さん、田中幸子さん
出演: 松田龍平さん、長澤まさみさん、長谷川博己さん、他
上映時間: 129分
お話: 宇宙人が概念を奪うという侵略をはじめます
好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点
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黒沢清監督新作「散歩する侵略者」観てきました。
おもしろかったです(・∀・)
映画.comからあらすじを引用すると、数日にわたって行方がわからなくなっていた夫・真治が、まるで別人のように優しくなって帰ってきたことに戸惑う妻・鳴海。それ以来、真治は毎日どこかへ散歩に出かけるようになる。同じ頃、町で一家惨殺事件が発生し、不可解な現象が続発。取材を進めるジャーナリストの桜井は、ある事実に気づく。不穏な空気が町中を覆う中、鳴海は真治から「地球を侵略しに来た」という衝撃的な告白を受ける。―――という感じ。
黒沢作品の中では、なんだかとてもわかりやすくエンタメ作品というか、なんとも開かれた映画だなと意外な気持ちになりました。基本的にどす黒い黒沢作品が好きなのですが、まぁこっちの基本的にはコメディで、全体を観終わった後は意外にもハートウォーミングなラブストーリーだったんだという感慨があるこの映画も新鮮で良かったです。
とにかく、設定がおもしろかったですね。これはイキウメの演劇がほんとに観てみたくなる感じで、概念を奪っていく、そして奪われた人と奪った方がどう変化するかという設定が新鮮でおもしろかったです。あとは何と言ってもこの映画は演技がみんな良くて、いつもなんだか肌に合わない長谷川博己さんはとてもハマっていたし、後半、これは自分の意志なのか?という風にも見える宇宙人側に感情移入していくというか宇宙人とバディ化していく展開も熱いものがありました。
あと何と言っても松田龍平と長澤まさみ夫婦の魅力が凄まじくて、これだけでこの映画グイグイ引き込まれました。もうとにかく長澤まさみがいいジャン( ;∀;) 個人的には過去最高のまさみでした。「もう!しょうがないなぁ!」と変わり果てた夫に渋々ついていくこの「しょうがないなぁ感」がほんと素晴らしくて、しかも「しょうがないなぁ!」と思わせる説得力のある、ほっとけなさを体現した松田龍平も見事。見事なアンサンブルでした。とにかく、長澤まさみは最高のツンデレ感でした。
だからこそ、概念としての「愛」というものを愛する者のために手離し、そして受け取った、一組の夫婦の変則ラブストーリーとして収束するラストは、観る前とは想像してたところとは違うところに連れて行かれたという意味でもおもしろかったです。