【映画感想】「メアリと魔女の花」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

メアリと魔女の花

 

世間はヒアリが大変ですが、メアリも大変でした(´・ω・`)

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監督: 米林宏昌さん

原作: メアリー・スチュアートさん

脚本: 坂口理子さん、米林宏昌さん

出演: 杉咲花さん、神木隆之介さん、満島ひかりさん、他

上映時間: 102分

お話: 少女がひょんなことから魔女になります。

好き度: ★☆☆☆☆ 1.5/5.0点

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スタジオポノック第1回長編作品、「メアリと魔女の花」観てきました。退屈でツラかったです…(´・ω・`)

 

お話はこんな感じ―――、田舎町の赤い館村に引っ越してきた11歳の少女メアリは、7年に1度しか咲かない不思議な花「夜間飛行」を森の中で発見する。それは、かつて魔女の国から盗み出された禁断の花だった。一夜限りの不思議な力を手に入れたメアリは、魔法世界の最高学府・エンドア大学への入学を許されるが、メアリがついたある嘘が大きな事件を引き起こしてしまう―――。

 

 

米林作品は前作の「思い出のマーニー」が僕はものすごく好きなので(公開時の感想はこんな感じ)期待していたのですが…この映画はものすごく肌に合わなかったのです(´・ω・`) なんだか紙芝居を観てるようだったというか、まずキャラクターがどれも全然生きてる感じがしませんでした。キャラクターの演出がとても記号的で、お話を進めるためのコマみたいに見えちゃったんですよね。お話を進めるための役割をそれぞれのキャラクターが全うするだけで、それ以上のいわゆる人間味や深みみたいなものは全く感じられなくて、ほんとに死んでるように見えちゃったんです。

 

メアリがたらたらとずっと説明的なセリフの独り言をしゃべってて、全体の間がとっても悪く、画的にもフェティッシュ感が感じられなかった前半は特に観ててキツくて…。それは中盤、後半とずっとそう感じてしまいました。僕はめちゃくちゃ退屈な映画でした(´・ω・`)ジブリオマージュ云々をいろいろと言われてますが、それ以前にまずお話としておもしろくないのでは…と思っちゃいました。

 

魔法大学みたいな設定もすげぇ楽しくなるかと思ったんですが、どうも画として跳ねる気持ちの良さ、フェティッシュさがなく、とにかく間が悪い。そして相変わらずずっと説明的。セリフが多すぎですよね、この映画。画面で物語を紡いでいく映画的演出が皆無に近くて、とにかくしゃべらせすぎだと思いました。魔法大学は世界観が中途半端に狭くて、背景でしかないその他の生徒たちとか、、じゃあ逆に閉じた世界の病んだドラッギーな世界観かというとそうでもなく、全体的に中途半端な中盤でした。

 

後半も残念でした。メアリが嘘ついて見栄を張ったことから事件が起きちゃうわけですが、後半のメアリの成長がまったく感じられなかったのです(´・ω・`)この冒険で、ひとつの嘘から始まった大変な出来事から、メアリはなにを感じ、どんな成長をとげたのでしょうか…。「やっぱ魔法はつかうもんじゃないわね、もういーらない、ぽーいっ」とこんな感じで、ちょっと大変なことになったけど、なんとかなったよかった〜としか見えなかったんです。そもそもこの映画の魔法はおそらく科学のメタファーですよね。魔法=科学だとすれば、めんどくさくなったら安易に「ぽいっ」としちゃうけど何の被害もこうむらない最後の楽しい部分だけはいただきますという姿勢はなんだかなぁと思わざるを得ず…。あとピーターというメアリのお友達も、あまりにもキャラクターの掘り下げが浅すぎるので、助けたときのカタルシスや感動もさほどなく、なんとも不発なクライマックスでした…。

 

思い出のマーニーはものすごく好きな映画だったんですよ。たしかに変なところもあるんだけど、しっかりと少女の成長に向き合って、さらには物語論としても優秀だと思っています。あのときにあった繊細な心の変化と成長はどこに行っちゃったんだろう…。メアリの後半、冒険が終わってから、「これは、実写かな?」と見間違うほどの草木が写るシーンがあって、ああ僕が観たかったのはこれだったのにな…と最後の最後に思いました。こういう冒険ファンタジーは、監督の資質としてあってなかったんじゃないかなぁと思います。もっとミニマルな世界観で、また違った少女の成長を第2回作品では楽しみにしています…。