【映画感想】「昼顔」 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 

 

昼顔

 

「決して、もう二度と。せめて、もう一度。」

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監督: 西谷弘さん

脚本: 井上由美子さん

出演: 上戸彩さん、斉藤工さん、伊藤歩さん、他

上映時間: 125分

お話: また不倫します

好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点

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「昼顔」を観てきました。この際だからドラマも観ちゃおうということでドラマも観ちゃいました。ドラマの方はまぁオーソドックスな不倫ものなんだけど、なによりもいちばんの特徴だなぁと思ったのが、登場人物たちの薄っぺらさなんですよ。とにかく登場人物たちがすごく暇そうで趣味もなさそうだし人生の目的とか楽しみとかなさそうな人ばかりなんですよ。特に上戸彩、ものすごく空っぽな人で、正直カワイイ以外の人間的魅力が全く見えてこないんですよ。しかも不倫に至る切迫感もあまりなくてなんとなく踏み入れたら出れなくなっちゃったお話としてまぁまぁな感じで見終えました。そんなこんなで映画を観に行ったんですが、ドラマの100倍くらいおもしろかったです(`∀´)

 

 

もうこの映画に関しては西谷弘監督がすごいとしか言いようがないのです。とにかく演出が冴えわたっております。目線のやり取り、手の演出、光の使い方、様々な演出がうまい!という演出だらけで観てて飽きが来ないです。2人が再開する序盤のシークエンスなんてもう惚れ惚れですし、その後の森林公園での真の再開など、練りに練られたであろう構図だらけでほんとにドラマ映画の枠を飛び越える素晴らしい演出だらけで関心しきりでした。西谷監督お得意のクロスカッティングも今回は大炸裂。クライマックスのクロスカッティングなんかほんとにほれぼれなキレキレっぷりでした。そして何より上戸彩がとってもエロイんですよ。これは凄いですよ。エロイことほとんどしてないんですよ、ドラマと同じ材料ですよ。でも演出ひとつで同じ女優がここまでエロくなるのか、というくらい素晴らしい上戸彩でした。しかし相変わらず上戸彩演じる役は薄っぺらい空っぽな人間でまったく感情移入できないんだけどね(笑)

 

 

不倫映画のおもしろいところは一般的な正しさを持つ人間が悪役的役回りになるという構図だと思うのですが、昼顔にとって主人公2人の明確な敵は明らかに伊藤歩でしたな。しかもこのドラマ・映画で唯一といっていい明確に人生に目的を持ってて人生に生きがいを感じている人なんですよね。圧倒的に正しい人なんですよね伊藤歩は。つまりこのシリーズで圧倒的な強者なわけです。唯一罪を背負ってないんだもん。でも、この映画の後半ですよね、伊藤歩という存在が一気にこの映画にホラー要素をぶっこんでいく展開に。これがものすごくおもしろかったです。僕はこのシリーズは誰一人として感情移入して観るキャラクターが今までいなかったんだけど、今回はほんとにこの伊藤歩に感情移入しましてね(つД`)ノまどマギ新篇におけるほむらちゃんというかさ、折り合いを付けようとしても付けられないことってどうしてもあってさ、いままで冷酷に見えるまでに圧倒的正しさを発揮してきた伊藤歩が最終的にその正さとは真逆の方向に突っ走るという…、明確な彼女の弱さというか不安定さがもうほんとみてて辛かった。。ドラマティックとは真逆に行くダークな後半は非常に好みだし、昼顔の結末として非常に好みな結末でした。あの指輪を発見してうわあああとか上戸彩に泣かせない。いっぱいの蛍に包ませない、西谷弘がちゃんと主人公たちを突き放すことが出来たことこそ、この映画の明確な勝因のひとつだったのかぁと思います。おもしろかったです昼顔。