ブルージェイ (Netflix)
好き度: ★★★★☆ 4.5/5.0点
取り返しのつくものと、つかないもの。
Netflixはほんとうに油断なりませんな。本当に素晴らしい映画をNetflixで観たのでちょろっと感想を。「ブルージェイ」というモノクロの映画でございます。今年ベスト!!(早すぎw)
こちらが予告編でございます。
舞台はカリフォルニアの小さな町。20数年前、高校時代に恋人どうしだった2人が地元のスーパーでたまたま再会。2人は、現状に満足していないということもあり、昔とは違った目で互いを眺めやり、過去を振り返る1日とちょっとの物語でございます。
映画の作りはリチャード・リンクレーターのビフォアシリーズを思い出すような、ほぼ登場人物は2人で、思い出の地を歩きながら2人の会話のみでその2人の背景やなぜ2人が今に至るのかという様子を浮かび上がらせるような作り。とてもゆったりとした90分弱ですが、これがとっても濃密でドラマティックで、死ぬほど切ない。。
映画序盤からなんですが、ほんとにこの2人の雰囲気がほんとに良くってですね。随所で「あ、この2人ほんとに仲良かったんだな。合ってるんだな。」とほんとににこやかに見ているんですが、所々、2人それぞれが、なにかちょっと見てるこっちが引っかかるような心配な要素がちょいちょい垣間見えたりするんですよね。特に男の方が、突然ちょっとしたことで涙ぐんだり、女の方は何と言っても顔ですね。すごく不安そうに彼を見て心配をしたり、ついには彼女も「実は今、抗うつ剤を飲んでる」なんて告白したり。
とりあえず、見てて思うことは「こいつら、なんで別れたんだ?何があったんだ?」ということ。ほんとうに美しく、きれいで、基本的には微笑ましい再会ものなんだけど、見ててどこか不安になるような巨大な空白がある気がしてならない…そんなことを見ていて思うのです。
ですが、その別れの原因がわかる後半までの前半から中盤あたりはほんとにね、切ないけど、なんとも微笑ましい!という、ほんとゆったりとした空気で進むし、2人の会話だけなんだけど、ぐいぐい引き込まれる見ててニヤニヤしちゃうような会話劇で、素晴らしい。ほんとに脚本がよくできてて。あとなんといってもこの2人の元恋人感がほんと素晴らしくてですね。この2人の雰囲気に浸ってるだけでなんか楽しくなっちゃうし、切なくなっちゃうしで、ほんと素晴らしい演技なのです。
てなわけで、その「なぜ別れたか。」が、わかってくる後半、そしてそこからのラストまでの展開は、もうほんとね、どうかと思うくらい泣きましたね…。号泣してしまいました。それまでの会話ででてくる「抗うつ剤」と、ふと出てくる「手紙」の伏線をうまく使いつつ、ほんとに、ささやかーな、ささやかーな、救いのあるラストなんですが、ほんとに見せ方がうまいのなんの。たしかに人生って、とりかえしつかないものはつかないんですよね。そこの線引きはしっかりとこの監督さんは保ちつつ、それでも、とりかえしのつくものもあるんじゃない?というほんとうに優しさに満ち溢れた素晴らしい幕引きに死ぬほど泣いてしまいました。しかも「涙」がキーになるラストなのにぜんぜんウェットじゃないんですよ、ここもすごい。
ほんとうに、実に素晴らしいオトナの恋愛映画でしたし、ほんと個人的には見るタイミングもバチっとハマったし、このささやかーな作り手の優しさに泣いた、まだ2017年始まったばかりですが、2017年に見た映画の中でも大事な一本になりそうな気がしてなりません。
Netflixに加入してるかたは、ぜひ!!!オススメです。