※ネタバレあり
湯を沸かすほどの熱い愛
好き度: ★★★☆☆ 3.0/5.0点
家族って、そもそも不気味なものなのだ
やっとこちらでも公開になったので「湯を沸かすほどの熱い愛」、評判がとてもよかったので観てきましたよ(・∀・)けっこう激烈に賛否が割れている映画ですな。監督は中野量太さん。こちらも評判のよかったインディー映画「チチを撮りに」の監督さんですね。まだ観れてませんが…そのうち観てみようかな。
![]() |
チチを撮りに [DVD]
4,212円
Amazon |
てなわけで、「湯を沸かすほどの熱い愛」、僕は、良いところもあるし悪いところもあるね!(・∀・)という感想でした。そんなにめちゃくちゃ感動することもなく、でも激烈に嫌いかと言われればどちらかと言えば好きだが…という、まぁ一言で言うと、普通、という感じでしょうか。。
あらすじを映画.comさんから拝借すると、、持ち前の明るさと強さで娘を育てている双葉が、突然の余命宣告を受けてしまう。双葉は残酷な現実を受け入れ、1年前に突然家出した夫を連れ帰り休業中の銭湯を再開させることや、気が優しすぎる娘を独り立ちさせることなど、4つの「絶対にやっておくべきこと」を実行していく。
という、感じで、まぁ一言で言っちゃえば難病モノなんだけど、でも監督さんは意識的にベタベタのお涙ちょうだいの難病モノにはしないようにうまく舵を取ったバランスだと思いました。
ぼくの大好きな番組WOWOWぷらすとで、特集されてましたので、観てみるといいと思います!けっこう監督さんの考えがガッツリ聞けておもしろいでっせ!
まず良かったところですが、何より、杉咲花さん!キネ旬の年間ベストで助演女優賞をとってましたが、それも納得の演技でした。ほんとに彼女の魅力でこの映画グイグイ引き込まれます。何より、とんでもなくかわいい。あとオダギリジョーのダメ男感も素晴らしかった。最近あまりスクリーンで観てませんでしたが、やはりさすがなものがありました。いやしかし、この映画杉咲花さんを見にいくだけでも価値のある1本にはなってるくらいハマりまくってて、監督が「杉咲花にあて書きしてこの台本を書いた」というだけあって、ほんとに輝いてました。
頑張った!杉咲花!
あと、この映画、いくつかギョットする映画的に跳ねるシーンがありますね。前半はいじめられて制服を隠された杉咲花ちゃんが教室でみんなの前で代わりに着ていた体操服を脱いで下着姿で「制服返してください…」と懇願するシーン。そして、特にビックリするのはラストのラスト、お母ちゃんが守ってきた銭湯で最後、死んだお母ちゃん宮沢りえと棺を燃やして沸かしたそのお湯に家族が入り、煙突から赤い煙が上がるというシーン。けっこうこのへんは特に賛否が分かれてますが、僕はどちらも超プラスにとらえております(・∀・)このラストシーンなんか倫理観を飛び越えてくる監督の変態性がバシバシ伝わってきて、やっぱりこの映画で一番跳ねたぼくは素晴らしいシーンだったと思います。こういう倫理観を揺さぶられる瞬間を楽しみに映画館に行ってるわけで。
ただ、問題は、このラストシーンに至るまでにいろいろ問題がある気がするというところだったりします。特に一番残念だったのは松坂桃李。この役、いるかな?('A`) なんというかですね、この松坂桃李ってこの家族とは全く関係のない人物なんですが、この宮沢りえの母性に感化されて人生を見つめ直し、なんかちゃっかり最後はこの家族の仲間入り♪なんて展開になっていくんですが、なんだかこの松坂桃李の存在によって、宮沢りえの母性とやらがどうも安っぽく見えちゃって。
この映画、それこそ批判されてるこの物語に散りばめられてる「どうなの?」って言われてる要素や、なんといってもあのラストシーンでもわかるように、そもそも家族ってものってさ、内にいるとわからないし当たり前のことも、外から見るとちょっと変だなとか、なんならちょっと不気味だなって、思われるし思うものじゃないですか。特にこのラストシーンはいい意味でその「家族というものの不気味さ」をいい意味で出してるシーンだと思うんですよね。イビツな感動がとっても良かったんですよ。この映画の感動は、閉じてれば閉じてるほどの感動だと思うんですよね~。
だから、この映画、ラストシーンをこうしたいのであれば、宮沢りえの母性は家族以外に電波すべきではないと思ったんですよね。なんなら、この家族を「ちょっとあの人たち変じゃない?」と斜めから見るようなイジワルな登場人物がいないということが問題なんじゃないかな~思います。この視点があるだけで、俺たちはたしかに間違ってる、でもこれが俺たち家族なんだという、閉じた、でも閉じてるからこそ間違ってるからこその感動がもっと出たんじゃないかな~なんて思います。
脚本もとってもうまかったし、細かい伏線をしっかり回収して感動に昇華してく構造もうまかったし、俳優陣の演技もいいし、おもしろいところはおもしろかったです!!杉咲花ちゃんと監督の変態性が炸裂したラストシーンでどちらかというと僕は好きな映画になりました。