【映画】「ヤクザと憲法」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 
 
ヤクザと憲法
鑑賞日:2016年3月6日
映画館:ポレポレ東中野

 

 
好き度:★★★☆☆ 3.5/5.0点
 

 
東海テレビの粘りと度胸に脱帽

 
 
ポレポレ東中野で「DOGLEGS」と2本立てで鑑賞してきました。噂通りおもしろかったですよ。ヤクザの日常に密着!というすげぇことをやってのけたのはやはり東海テレビ。謝礼金なし、モザイクなし、収録テープを事前に見せないなどの取り決めの元、粘りと度胸で撮りきって1本の作品にしたことがまず凄いなぁと感心。僕なら死んでも行きたくないです。


ヤクザ事務所。意外にまったりしております。

 

 
これは野球賭博?これはクスリの売買?ゆゆゆゆびが1本ないひとがごろごろいるぞ~など、なんとなーくやばいものを見てる感は漂うものの、基本的にはヤクザの落ち着いたほのぼのとした日常を映し出していておもしろかったですよ。基本的にはヤクザの人々が気のいいおじさんっていう感じで、こういう感じのおじさん普通にいるよな~なんて思いつつ見てました。


とは言いつつ役者か?と思うほどみんないい顔がそろってます…

 


 
そんなほのぼの空気の前半ですが、後半にメッセージが明確になってきまして。ヤクザの子供は幼稚園に入れません!とか、ふつうに保険の請求をしたら詐欺容疑で逮捕された!とか、銀行口座も作れない!とか、ローンも組めない!とか、暴排条例によってヤクザの生活がどう変化したのかをしっかり描いてて、ヤクザに人権はないのか?という問題に突入。ヤクザになったお前が悪いんじゃん!って言ってしまえばそれまでなんだけど、作中でも出てくるように社会からドロップアウトして誰も助けてくれない時に助けてくれたのが親分だったとか、ドロップアウトした人たちの受け皿的コミュニティとして機能してるところもあったり、そういう感情移入の隙間もあったりして、、自分も1歩踏み外せば、ないとは言えないなぁなんてことも思ったり。だからと言って、決して肯定は出来ないんだけど、物事の見方というか視点が広がる良い攻めたドキュメンタリーでした。


一番怖いのは警察だった!

 

 
そしてヤクザが出まくるこの映画でいちばん高圧的でまさに僕らが思い浮かべる「ヤクザ」的なものだったのが、ガサ入れ中の警察の方々でした。警察と作り手の撮る撮らないの攻防はこの映画でいちばんヒリヒリしたシーンでした。このヒリヒリ感はドキュメンタリーの醍醐味というか、一番ゾクゾクするシーンでもありました。



おわり