【映画】「白鯨との闘い」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 


白鯨との闘い
鑑賞日: 2016年1月16日
映画館: TOHOシネマズ新宿

 

 

 

 


こんなにカッコいいポスター(↓)が、こんなにださくなるとは(↑)。

 

 




好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点



白鯨との闘いと思いきや!飢餓との闘いだった!



ぜんぜん期待してなかったけど、想像以上に、というか想像とは違うベクトルの映画で楽しかった作品でした。てっきり「白鯨」の映画化かと思ってたけど、メルヴィルが「白鯨」を書くまでのお話でしたね。しかも話のメインは白鯨との闘いではなく極限状態でのサバイバルものだったのです。「ライフ・オブ・パイ」にかなり近い。サバイバル中に起きたこともだし、最終的なオチが「物語論」に行き着くところもかなり似ているのでした。


マイティ・ソーがクジラがクジラに襲われる映画です

 



いわゆる捕鯨業者のお話なので、とにかく捕鯨描写がとても良くて、1800年代の捕鯨のディティールがかなり詳しく描かれてとてもワクワクしました。こうやって捕鯨してたの!?というビックリがたくさんでとても過酷そうでした。モリを指して弱るの待ちというのは驚きましたね。あとクジラの解体が見れたのはとても良かったです。はじめてみました。


と思ってたら超巨大クジラが登場!

 



ボスクジラが登場して、「さーてここからどうやって超巨大クジラを倒すのか…」なんて思ってみてたら、お話は予想外なところに転がり始めました。捕鯨船が巨大クジラに大破された船員たちは、そこから大海原に取り残され、限られた食料で助けを待つ、サバイバル映画になっていきました。予想外の展開ながら、予想とは違うおもしろさがあってとても良かったです。


ルヴィル(ベン・ウィショー)が、若いころあの捕鯨船に乗ってたこのおじさんのお話を聞きに行くのだが…

 


サバイバルの中、食べるものはなくなり…、ここからお話は野火化していくんですよね。食人映画になったのです!

「白鯨」の著者メルヴィルをベン・ウィショーが演じてますが、メルヴィルが「白鯨」を書くためにその船に若いころ乗っていたおじさんに取材に行くのですが、このおじさんはこの件についてずーっと語ろうとしない。そう、食人をしてしまったというトラウマがあったからなのでした。だから生き残ってるわけで。


若き日のおじいさん

 



ここからさらにお話は物語論へと転がっていきました。おじさんの悲しき魂の叫び、決して語ろうとしなかったトラウマを聞いて、この聞いた実話ではなく、フィクションとして、雄大な冒険譚として「白鯨」を描いたのでした。ここにグッときましたね~。なぜ物語というものが必要なのか?

あれ?こういう話、どっかで観たぞ…そうです!「ライフ・オブ・パイ」です!!
 

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まぁでも、、お話の軸は異なるとはいえ「白鯨」にある象徴性には及ばないのと、「ライフ・オブ・パイ」を通過した者からするとあの映像としての新鮮さと、その映像とセットで語られるテーマ性の圧倒的強度には劣るかなぁと思ったりもしましたが、しっかりとした映画をみたなぁとそれなりの満足感を得て劇場を出ました。

予想外の展開でおもしろかった!