ブリッジ・オブ・スパイ
鑑賞日: 2016年1月11日
映画館: TOHOシネマズ スカラ座
好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点
「STANDING MAN」
スピルバーグ新作ということで劇場へ。有楽町のスカラ座で観てきました。お客さんはかなり入ってましたよ~。てなわけで、「ブリッジ・オブ・スパイ」とても良かったです。地味ながら洗練され考え抜かれた演出・撮影・音楽、そしてしっかりとスピルバーグ映画になっていたのがなにより良かった!!
カミンスキーの撮影はやはり最高でした
カミンスキーの撮影はここ数年の中でもトップの出来だと思うくらい、画面の練られた構図感には感動するものばかり。ファーストカットの鏡を見ながら絵を描くマーク・ライアンスというカットで傑作だと予感させる、そこからセリフのない長回しでの追跡シーンの緊張感とかっこよさでこれは傑作だと確信に変わる、素晴らしいツカミでした。前半は特に撮影が50年代の犯罪ノワール調なのがまた良かったです。
最初のほぼセリフのないマーク・ライアンスシークエンスは鳥肌物のカッコよさでした
繊細に積み上げられた細かい描写ややり取りの数々が、伏線になってたり、対比になっていたり、登場人物の心情を語っていたり、直接的なセリフではなく逆説的な表現や画面に映る物事で映画を語るというさすがのスピルバーグ映画で、純映画的快感に溢れた一本でした。あるべき会話劇の姿だと思います。コーエン兄弟が脚本を書いてるだけあって、緊張感の中にユーモアがしっかりあったのもまたよかったです。すべてが高水準の映画でしたね(´∀`)
電車から見えるものの対比演出…
「僕を抱きしめて迎えるか、そのまま後ろの席に乗せるかでわかるよ」という最後の橋のシークエンスは本当に素晴らしかったですね。撮影、ライトの使い方、なにより間のうまさ。一筋縄ではいかない多層的な感情が一気に押し寄せてきました。ややソ連側を一方的に描き過ぎな気もするけど、その後の帰り道の絵とかでやっぱいろんな複雑な気持ちにしてくれました。
トム・ハンクスとマーク・ライアンスの不思議なバディ感がとてもよかったなぁ~。
そして、やっぱこの映画はラストシーンですよね。スパイ交換という仕事をやりとげた後、ここでしっかりスピルバーグ映画的な家族の映画に落とし込んでくるあたりがとても良かったです。なんで行くのよなんて思われてた父親、釣りに言ってたと思われてた父親が実はすげぇ仕事をやり遂げていたと家族みんなが知る、というシーンがしっかり入ってくるあたりはさすがスピルバーグ映画だなぁと思いました。電車でのおばさんとのやりとりとかもよかったな~。ほんと隅々まで良かったです。個人的には最近のスピルバーグ映画ではトップクラスに好きです。ミュンヘンと並ぶくらいに。最高でした。