【映画】「orange -オレンジ-」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 
orange -オレンジ-
鑑賞日:2016年1月1日
映画館:TOHOシネマズ渋谷

 

 
 
 
好き度: ★☆☆☆☆ 1.0/5.0点
 
 
 
新年1発目、絶望的な気分にさせられた邦画、その名も「orange -オレンジ-」

 
 
新年になりまして、マイルが貯まったのでTOHO1ヶ月フリーパスを発行。たまたま時間が合ったのでふらっと「orange」鑑賞なる映画を鑑賞しました。1月1日、新年1発目の映画でした!というわけで、これの「orange -オレンジ-」本当に酷かったのです(;´Д`A   2015年に観てたらまちがいなくワーストにしてたと思います…。


去年、この手の青春邦画ものは最近観てなかった分、一気にダメージがきた気がします。

 

 

 

 

 
これでもかと繰り返される説明過多な心情ナレーション、今時ドン引きな記号的な演出の数々、ひたすら使い回される劇盤、生身感のないキャラクター、作り手もちゃんと理解できてないパラレルワールド設定、そして「物語(笑)」を生み出す道具としてしか機能しない愛のない無神経な登場人物の「死」の描き方、どこを取っても酷い出来の映画だと思いました(;´Д`A
 
土屋太鳳ちゃんは大好きだし、るろ剣の彼女は素晴らしいアクションで特に良かった。でも今作の彼女の演技はほんとにキツかった。これは土屋太鳳のせいではなく、監督の演出力のなさであることは間違いないと思います。この監督の演出はほんとビックリするくらい反映画的演出のつるべ打ちでドン引きしましたよ…。観客をまったく信頼してないんだろうなぁという病的な説明過剰演出はすごかったですね。それまでの流れを見ていればわかる見せ場のシーンに必ずと言っていいほど心情ナレーションを乗せ、さらにそこに回想を挿入してくるという酷さ。そもそも送られてくる手紙が彼女の内的描写を可視化することを助けてくれてるわけだけど、そこにさらにナレーションを入れてきてさらに説明を加えるという不細工さはさすがにくどくどしく見てるのがほんとに辛かったです。


唯一良かったのは真野ちゃん演じるパイセンのビッチ感くらい

 

 
未来の自分から手紙が届き、これから起こることが事細かに書いてあり、未来を変える(ただしパラレルワールドだが)というお話。とにかく説明過多な演出が目立つ中、なぜ異なる平行世界どうしで手紙を送れるのかという、この設定を使うのであれば避けては通れない肝の部分、言い換えれば作り手側からすればいちばんめんどくさい部分に関しては、説明を放棄するという不真面目さには呆れかえりました。


こんなんでキュンキュンくるのかなぁ今どきの女子中学生たちは。僕はクリードのスタローンにキュンキュンする人間だからあれだけど…

 


 
ラストシーンも謎。パラレルワールドがなにかちゃんと作り手側な理解してるのかな?と思っちゃいました。手紙を送る側のラストシーン(主にあの満足気な土屋太鳳の顔)があれなのはおかしい気がしてならないのです。直前になにを知らされたかを考えると繋ぎがおかしいと思うんですよね。手紙を送る側の平行世界と、送られてきた側の平行世界が作り手自信がわからなくなっちゃってるような気がします。そもそもパラレルワールドに手紙をおくったわけで、送られた方になにがあろうと男が死のうが生きようが、送った方の世界にはなんの変化もない。と、考えるとラストシーンの未来の土屋太鳳のあの表情は矛盾してると思うんだけどなぁ。あと、そもそも未来の土屋太鳳はパラレルワールドの現在がどうなってるかはわからないわけで、拍子抜けというか、今まで見せられてきたものはなんだったんだという感じがする。送った側の自己満足にしかなっておらず、未来の彼・彼女たちがなにかを乗り越え成長する。もっというと過去と決着をつけるシーンはほしかったです。

とぃうか、時系列的には救えなかった真相を知った後なのに、、届くかもわからず、かつもう一方のパラレルワールドがどうなったのか…なんて知る由もないのにね。なんで満足げなラストシーンなんでしょうか。結局手紙送って自己満足に浸ってるなんかすげぇ嫌な奴じゃない?ってなってるよね…。


なんで満足げな顔してんだ?

 

 
あといちばん気になったのはやっぱりこの作り手の死の描き方。死というものを物語を転がすための道具くらいにしか見ておらず、これはつまりキャラクターを道具としか思ってないのと同義であると思うんですよね。記号でしかないキャラクターはとうぜん生きたキャラクターには見えず圧倒的に生身感がない。紙芝居を見せられているような虚しさを感じながら、虚しい2時間をすごしました。ほんとに酷かったです…。