007 スペクター
鑑賞日: 2015年11月27日(先行上映)
映画館: TOHOシネマズ六本木
好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点
僕らの007はクレイグなのである
前作の「スカイフォール」で007シリーズの相対化と再定義を最高の形でやってのけて、昔ながらのオフィスとM,マニーペニー,Qで再出発します!と高らかに宣言して終わってからの、今作。
賛否あるみたいだけど、「スカイフォール」の続編、そしてクレイグボンドの集大成として申し分ない内容だったと思う。とても楽しかった!
クレイグボンドシリーズではあえて避けてきた007シリーズお約束のオープニングの流れをあえてここでやってきた姿勢に「スカイフォールの再出発宣言は本当だったんだ!」と大興奮。そもそも「スペクター」というタイトルの時点でそこへの揺り戻しは期待していたけど、全編にわたってかなり昔ながらのボンド映画に揺り戻してきたな!とうれしくなった。
これまでの007へのオマージュもかなりあってたのしかった。大きなところでは「女王陛下の007」「私を愛したスパイ」「ロシアより愛を込めて」あたり。
今回、撮影監督がロジャー・ディーキンスからホイテヴァン・ホイテマに変わるという豪華すぎるリレーはあたりまえだけど当然大成功(笑)とにかく撮影が全編にわたって素晴らしすぎる。今回基本的にアクションは「慰めの報酬」を超えるド派手なアクションの連続なんだけど、そのド派手なアクションとメンデス×ホイテマの美しい映像というアンマッチにも見える2つの要素が絶妙なバランスで混ざり合っててこのバランス感覚は確実に今までにないバランスだしすげぇ好き。どっちつかずとピアーズ・ブロスナンは言ってるみたいけど、このバランスだからこそ良いんだとすごく思う。
ボンドの最後のセリフ、「忘れ物」と言ってあの時のアストンマーチンを取りに来るところで終わるけど、昔ながらのボンド映画になぞった作りのこの映画は、クレイグボンドシリーズの「忘れ物」でもあったんだなぁと思った。「こんなのボンド映画じゃない!」とかいろいろ言われてきたクレイグボンドシリーズだったけど、最後のアストンマーチンが象徴するように古き良きあの時のボンド映画を現代を舞台に取り返しに来たお話だったんだなぁと感動した!ありがとうございますほんと!
だからこそ、エンドロール後のwill return宣言にはガク~っときたけど(笑)もうダニエルクレイグは開放してあげてほしい。。
ツッコミどころもあるんだけど、いろいろある無理さと無茶さも含めてキュートな、でも画面はめちゃくちゃ美しいというほんとバランスは唯一無二のダニエルクレイグボンドシリーズの新たな看板ができたな!と思う。楽しかった。
スペクターが小物に見えちゃう動機なのが残念とか、久々に観たモニカ・ベルッチ姐さんそれだけかいっ!とか、最後の3分宝探しゲームもっと本格的に隠せよスペクター!とか、ぶっちゃけお話的にはいらない展開,行かなくて良かった国が2箇所あるとか、さすがに死ななすぎ!とか、もうちょい蛇口締めれば文句ないけどね。でも、よかったっす。
次回作は一応ダニエルクレイグは契約上出ることにはなってるけど、ここまで綺麗に終わったんだからもうやんなくていいっす!かわりにベン・ウィショー主演のQスピンオフ映画でどうでしょうか…