【映画】「恋人たち」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 

 


恋人たち
鑑賞日: 2015年11月15日
映画館: テアトル新宿

 

 

 

 

 

 




好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点



「殺しちゃだめだよぉ そんなことしたら、こうやって話しできなくなっちゃうじゃない」



さすが橋口作品だなと思わざるを得ない映画でした。単純なひとつの答えで終わらせてくれない感というか…、「ぐるりのこと。」とかもそうだったけどずーっとその映画について考えざるを得なくなる強度があって、さすがとしか言いようがない映画でしたよ…。


夫婦映画の最高峰だと思います。大好きな作品デス

 

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観終わって連想したのは呉監督の「そこのみにて光輝く」と富田監督の「サウダーヂ」の2本。不公平で不条理で地獄みたいなこの世界だけど、ここで生きていくしかないんだなぁとか、最悪の状況の中でフッと救われる瞬間が周りの人のふとした言葉や行動、存在そのものにあったりするよねとか、生きることはツライけどでも肯定すべきものであるというスタンスっていうのかな。基本的に深い暗闇だけどそのなかから小さな小さな光(のようなもの)を見出す話がとても好きなのかもしれない。しかもそれがまったく押しつけがましくなく、徹底してどん底感をしっかり描く。だからこそその小さな小さな光に涙が止まらなくなるのだと思います…。


篠原篤さんという俳優さん、ほんっとにすばらしかった…

 



それが、生活感と実在感MAXの素晴らしい演技と演出で見せられるのがなにより素晴らしいし、これは橋口節だと思うけど、どんなにツライ状況でも絶妙なバランスのユーモアでフッと救われる瞬間があったり、思わず笑っちゃったり、ほんと橋口映画としか言いようのないバランスでしたね。序盤の弁当屋夫婦のDisりあいとか最高の極み。あの時点でぜったい良い映画だと確信が持てましたよw


成嶋瞳子さんという女優さんも素晴らしかった…

 



ほんとに名シーンだらけだけど、特にすごかったシーンのが、篠原篤さん演じるアツシが溜りに溜まった怒りを会社の先輩に吐露するシーン。ここのやりとり、2人の演技、空気感すべてが素晴らしい。そこで出てくるセリフ「殺しちゃだめだよぉ そんなことしたら、こうやって話しできなくなっちゃうじゃない」というこのセリフで思わず涙してしまいました。


黒田大輔さん、ほんっとに素晴らしかった!!!

 

 


このセリフ、ほとんどこの映画のテーマだと思うんですよね。このセリフをこの演出と演技で聴けただけでとてつもない満足感と小さな小さな希望を胸に映画館を出れたような気がします。

ほんと好きな細かいところをあげるときりがないんですけど、あの女子アナ最高だったなあ~とか、「決心」の使い方が最高!だとか、立ちションで救われるシーンも素晴らしかったなぁとか、何と言ってもエンドロール後の愛のあるラストショット、ほんと素晴らしい映画でした。さすがでした!