【映画】「ウォーリアー」「イン・ユア・アイズ」「あと1センチの恋」「あなたとのキスまでの距離」 | そーす太郎の映画感想文

そーす太郎の映画感想文

しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 


DVDでみた4本ですな。




ウォーリアー

 

 

 

 

 




好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点


大評判は聴いていたけど、劇場未公開のソフトスルー。噂どおりの傑作だった。

「激戦 ハートオブファイト」っていうMMA映画の傑作が今年あったけど、あの師弟の関係に父と子の関係、兄弟の関係をプラスし、しかもしっかりムダなく物語を語っていて、ちゃんと試合に物語のカタルシスを持っていくお手本のような格闘技映画だった。

とにかく、トムハーディはすごい。狂犬っぷりとしっかり作り込まれた身体、哀しそうな目など、これ以上ないくらいハマっていた。

お兄ちゃんの方がなぜあんなに強いのかのロジックがもうちょっと欲しい気もするけど、やはりあのお兄ちゃんが勝っていく過程とお兄ちゃんの頑張りでまわりの人々が少しずつ変化していく過程は泣けたし、最後の試合のトムハーディの不憫さと哀しさには泣かざるをえないし、お父さんの表情もとても良かった。

ソフトスルーはもったいないなぁ。。





イン・ユア・アイズ 近くて遠い恋人たち

 

 

 




好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点


突っ込み出すとキリがない設定ではあるけど、よくこのアイディア一発でまとめたなぁと感心したし、楽しい映画だった。

なにより、なぜ僕たちはゾーイ・カザンを観るだけで幸せな気持ちになるのか…と思うほどゾーイ・カザンはやっぱり魅力的で、「ルビースパークス」のときもそうだったけど、こういう特異な状況に置かれたヒロインをほんとうにうまくこなすなぁ。ふとした悲しそうな表情とか、すげぇ楽しそうな表情とか、ゾーイ・カザンの顔を見てるだけで楽しかった。

設定は割とガバガバで御都合主義な設定だなぁって感じだけど、シンプルかつストレートにロマコメにまとめていたのがよかった。『卒業』がベースになってそうだし。

ラストの、細かいことや今後のことは知らん!とりあえず好き!っていう潔さは割と好き。あのあと、それこそ『卒業』ばりに「それより、これからどうしよ…」ってダウナーな気持ちになるんだろうけどw 





あと1センチの恋

 

 




好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点


結末はぶっちゃけわかってるタイプの映画だし、とにかく焦らされまくる壮大なデキレースなわけだけど、これがおもしろかった!

くっつきそうと思ったら離れを繰り返し、とにかく徹底的に観客を焦らすタイプのラブストーリーってけっこうあるし、日本にもマンガ原作映画に山のようにある設定ではあるけど、話のテンポのよさとけっこうグイグイ攻める展開とハズさずおもしろい下ネタとギャグで全く飽きずに観ることができた。

とにかく、主演のリリー・コリンズが可愛すぎた。とにかく彼女が不憫で不憫でおもしろかったし、深刻な場面もウェットになりすぎない演出が全体にあってとても好みなバランスだった。特に序盤の下ネタ合戦はとても楽しかった。

さすがに観客を焦らしすぎ感があるというか、アンジャッシュのコントばりにすれ違うので男が2人目の妻と結婚するあたりは正直ストーリーが停滞したというか、ラストへのフリですよ~感をビンビン感じてしまったのが残念。

しかし、リリーコリンズが可愛すぎたのでオッケーである。あと、男は好き嫌い云々より「可能性」を感じたらそっちに引き寄せられちゃう性質があるっていう宇多丸さんがよく言う理論がまさに当てはまった男で非常におもしろかった。人間の心っておもしろいよね~と思った。





あなたとのキスまでの距離

 

 




好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点


キレイな恋愛映画風なDVDのパッケージだけど、フェリシティ・ジョーンズというファムファタールをめぐる家族崩壊映画で、びっくりした。大好物のやつじゃん!

近い映画は「テイクディスワルツ」、ラストの味わいは「ゴーンガール」な感じだった。

序盤に交換留学でこの家族のもとに訪れたフェリシティ・ジョーンズが読んでる本が「ジェーンエア」なあたりから、あぁそういう映画なんだなぁと腹を括った。いい引用だった。

セリフではなく目線のやりとりや細やかな表情の演出で人物を掘り下げていくのがとてもうまかったし、なんといっても一番はじめのシーンである家族写真を撮るシーンがラストシーンへの円環構造になっていてとても考えられた作りだった。最後の家族写真のシーンはとてつもない暴力性を感じたし、「ゴーンガール」にも通じる味わいを残す、イヤーな切れ味があった。

フェリシティ・ジョーンズはとても魅力的だったし、あの父親とあんなことになるのも納得ができる自然な演出でしたよ。なにを考えてるのかわからなさが絶妙な色気をだしていてますますフェリシティ・ジョーンズが好きになった。

父親のダメさもとてもよかった。ダメだとわかっていてもズルズルそっちに引っ張られていく感じ、男版の「テイクディスワルツ」みたいだった。

でも最後は結局、もう信頼もなにもかも失って崩壊してるけど「家族」というものからはのがれることはできないのだ、というこのシニカルなイヤーな味わい、「ゴーンガール」や「フレンチアルプスで起きたこと」などにも通じる普遍的な、もろく、不確かな家族というものめぐるお話になっていてゾワッとした。