【映画】「野火」「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。

 

 

 

 


野火
鑑賞日: 2015年8月9日(日)
映画館: ユーロスペース

 

 

 

 

 




好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点



塚本監督の新作。塚本さんが野火をやるという企画自体はぜったいに見たい映画にも関わらずこれを自主制作で作らなければならなかった日本映画の現状はさすがに寂しいものがある。しかし、ぜったいにこれを「今」撮らなければならないんだという監督の熱がものすごく映画に刻まれていて圧倒された。才能ある監督にちゃんとお金を与えて映画が撮れる体制と理解が出来上がるにはまだまだ時間がかかるんでしょうねぇ。クソみたいなテレビ局映画に金をかけるなら塚本さんみたいな人にお金を与える気概くらい見せて欲しいですな。。しかも戦後70周年のこのタイミングだし、ちゃんと「悲惨な戦場」を見せる戦争映画はぜったいにあるべきだと思うし。「永遠の0」みたいなお涙ちょうだいな甘々な戦争映画でお前らそれでいいの?と思っちゃいますね~ というどうでもいい話は置いといて、とにかく「野火」素晴らしかったです。全編ドキュメンタリータッチにしたことが功を奏して主人公の途方もない地獄めぐり感がものすごく出ていた。予算の割にものすごくリッチにそしてちゃんと悲惨に見える戦場シーンはほんとにすごかったし、塚本節な特殊メイクを使ったゴア描写もものすごく禍々しくて自主制作とは思えない、まっとうな戦争映画になっていた。 肺病を患った監督自ら演じる主人公の息づかい、どうしようもならない飢餓状態、平然と転がる死体と不快な泥と虫、奇襲的にやってくる空爆と銃撃、戦場は「地獄」であるという正しい事実をまっとうに僕たちに突きつけてくる。そしてなによりこの映画の肝である「極限状態の人間」の恐ろしさ、それを体現しているのが『凶悪』の先生役ばりに卑近な恐ろしさを出しているリリーフランキーというのが素晴らしかった。 戦後70年であり、今の日本の流れから考えてもこの「野火」こそ、今みんなが見なきゃいけない映画なのではないかと思う。戦場は地獄であるというまぎれもない事実を今一度心に留めておくべきたし、ちゃんとそういう気持ちになる悍ましい戦場を自主制作で作り上げた塚本監督はやはりさすがとしか言いようがない!





進撃の巨人 ATTACK ON TITAN
鑑賞日: 2015年8月1日(土)
映画館: TOHOシネマズ新宿 IMAX

 



好き度: ★★★☆☆ 3.5/5.0点



原作はほぼ未読。予想よりぜんぜんおもしろかった。樋口監督の作品の中では「ガメラ3」級に好きな作品になった。 とにかく良かったのが序盤のツカミ。ここが素晴らしすぎて後半ちょっと「ん?」となっても気にならないくらいの気合いが入っていてとても好感をもった。 巨人がきて、本当にただ見てるしかない無力感、絶望感がとてもよく出ていて、それに説得力がしっかり出るゴア描写のがんばりがなによりの勝因だと思う。なによりもろに「炎628」オマージュな教会を巡るシークエンスの残酷性は本当に素晴らしかった。今年の映画の中でもベストシーンのひとつになるくらいここの教会シークエンスは本当に好き。 中盤はコメディ映画「寝取られ男のラブバカンス」を思い出したw 俺たちの水崎綾女がさすがのエロさを発揮してて相変わらず素晴らしかったし、水原希子と長谷川博己の「リンゴ」の使い方は神話性を持たせると同時にフード理論描写としても優秀だった。なによりエロかった。予告で三浦春馬がうわぁぁあとか頭抱えて叫んでるから誰か大事な人が巨人に食われたのかなとか思ってたが、好きな女が高スペックイケメン上司に食われて悔しがる童貞三浦春馬の悲痛な叫びだったのには笑った。いい意味で。 ただ、マイナスポイントは立体起動が出てくる終盤。あまりにも顔のアップでごまかしすぎに感じたり、ワイヤー的なアクションを使うという意味では実写スパイダーマンを通過した僕らにはさすがにちょっとしょぼく感じてしまった。まだ、これをやるにはまだ予算が付いてきてないなぁと感じてしまった。できる範囲では頑張ってるとは思うんですが…やっぱもうひとつなにかちがう見せ場が欲しかったなと思う。ここまで、原作と変えているなら立体起動ではないなにかを見せ場にするのもありだったんじゃないかなぁと思ったりしなくもない。 でも、全く飽きずに90分駆け抜けたテンポと省略のうまさはとても良かった。後編はもちろん見ます!ってくらい満足しました。どうまとめるのかなぁー。