海街diary
鑑賞日: 2015年6月15日(月)
映画館: TOHOシネマズ渋谷
好き度: ★★★★★ 5.0/5.0点
「ここにいていいんだよ」、と言っている君は
あまりにも素晴らしすぎた!!是枝作品のなかではオールタイムベスト級の「歩いても歩いても」に次ぐか並ぶくらいにはとっても好きな映画になりました。 「何気ない日常」みたいなコピーの映画はゴミのようにあるけど、この映画が今後大きなハードルになるだろうなぁと思う。いろいろな評で「平坦だ」とか「ドラマがない」みたいなのを見ると正気か?と思うくらい。これでもかと情報量が詰め込まれた、微妙な心の機微を描きまくったドラマも珍しいくらいなぁと思うくらい、まったく不必要な描写がないように感じました。平坦に見えるだけで、そこらじゅうで、全登場人物分のドラマが起きまくっている、これでもかと「ドラマ」であったと思うんですよね。
原作ものではあるけど、是枝作品のある種集大成的なテーマであるなぁと感じました。歩いても歩いても、奇跡、そして父になる、違うジャンルに見える空気人形あたりも共鳴するようなテーマもあったし、シーン単位でかなりセルフオマージュ的なものも感じましたよ~。
あまりにも語り口が多い作品ではあるので超個人的な感想。とにかく綾瀬はるかが切なかったし、個人的に重なり合うところが多すぎて苦しくなるほどでした。家というものが根底では好きではないけど、でもだからこそ自分が家をどうにかしないといけないという、自我を捨てた責任感と使命感にとてもグッときました。これは描きようによってはすごくシニカルな方向に描けると思うし、キレイな話だけど見方によっては悲劇でもあると思います。でも、同じ立場の僕にとってはこのバランスはとても元気をもらう描き方でした。女だけど、綾瀬はるかの父性の目覚めに目がいったというか、綾瀬はるかがそして父になる映画だと僕は見えたのです。
この映画のすごいところはそれぞれどの人物にも感情移入できるし、確実に見た人によって感想や注目ポイントが違うところだと思う。見た人の人数分様々な感想がありそうだと思いますよね~。
最後に長澤まさみが最高だった。是枝さん、長澤まさみの正しい使い方をわかってるなぁと、傑作の予感がアバンタイトルですでに感じられた!
おわり