きみはいい子
鑑賞日: 2015年6月28日(日)
映画館: テアトル新宿
好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点
抱きしめられたいし、抱きしめたい
そこのみにて光輝くの呉美保監督最新作。素晴らしかったです。 僕の大好きなライムスターの「Hands」っていう曲があるんだけど、まさにこの「Hands」の映画化かと思うほど、とても似ているし、テーマをもものすごく雄弁に語っているなぁと思いました。さすがライムスターだなぁと改めて思ったり。ぜひ観た人は聴いてほしいなぁ。↓
この映画は「目線」の映画だと思いました。各主要人物の「目線」がどう変化していくかが、セリフより何より物語を語っていたように思います。 尾野真千子と池脇千鶴、そして高良健吾と高橋和也、それぞれの子供への目線の対比とその変化にこそ、この映画が言いたい大半のことが込められていると思うんですよね。
池脇千鶴と高橋和也は「そこのみにて光輝く」に続いての出演だけど、二人ともほんとにすごい。脇ではあるけど、この二人が映画の軸としてどっしりと存在することでものすごく豊かな映画になっていると感じました。特に池脇千鶴はほんとにすごい。現状ナンバーワン女優だと本当に思います。
文句はほとんどないんだけど、桜をめぐるラストの超現実的な展開はちょっと演出過剰に感じてしまったのが唯一残念なところだったかもしれないです。
ほんとこの映画のテーマはライムスターのHandsが語ってくれてると思います。親も、先生も、ビギナーなんだ、と。「まして重すぎるのさママ1人の肩には」と宇多丸さんのリリックにあるように、ほんとに尾野真千子は池脇千鶴に出会えて良かったと心から思います。
あと、言いたいのは子役使いのうまさ。教室の描写の手のつけられない感も良かったし、急にドキュメンタリックになる宿題シーンも、本当に素晴らしかったし、是枝作品っぽあなぁと思いながら観てました。
高良健吾の甥っ子の「がんばって、がんばって、がんばって、、」のシーンは泣いた。人って最強だなと人と人のぬくもりをあそこまでどストレートに見せられるとさすがに涙腺がやばい。そばに誰かいてくれることの素晴らしさに感動してしまった。
「他人事」や「野次馬」的なことでこういう問題を片付けようとする僕らを「当事者」へと、映画というものの構造を使って見せてくれた。その「当事者」へ感情移入をさせる「映画」ってすげぇなと思った、きみはいい子でした。素晴らしかったです。
おわり