駆込み女と駆出し男
鑑賞日: 6月1日(月)
映画館: ユナイテッドシネマ豊洲
好き度: ★★★★☆ 4.5/5.0点
すばらしい!
ものすごくおもしろかったし、2時間半弱あったとは思えないくらいグイグイと物語に入っていけたし、なによりとても「素敵」な映画だった。なにより良かったのはセリフまわしのおもしろさだと思う。大林宣彦ばりに詰め込まれたセリフ量だけど、そこに独特のテンポ感と昔の言葉に絶妙にミックスされる現代語によってとても気持ちいいグルーヴが生まれているように感じた。とても気持ちいいDJのミックステープを聴いているようだった。しかも抑えるところはしっかり抑えて画で魅せるという品の良さもあって、とても上質な人情喜劇を観たなぁとうれしくなった。最初の方で何気なく出てきたセリフがあとあと効いてくる巧さもあってほんとによく練られた脚本だなぁと感心。撮影もとてもよくて、ライティングのメリハリがとても印象的だった。カメラも抑えるところは抑えつつも基本的にはダイナミックにカメラを動かして、エモーショナルさを演出。画面づくりの巧さにもとても目がいったし、とにかく画面の品と活気のバランスが絶妙だった。役者陣はみんなよかったけど、やはり大泉洋の存在感と愛嬌には恐れ入るくらい、コミカルな演技もいやらしさがないし、セリフでまくしたてるときの「きたきたぁ」というケレンも含め、とても素晴らしかった。満島ひかりが素晴らしいのはもちろんのこと、今回はやはり戸田恵梨香がほんとうに魅力的だった。今までクソみてぇな映画でしか見てなかったからってのもあるけど、ここまで「女優・戸田恵梨香」の魅力を感じられる映画だとは思っていなかったのでびっくりした。戸田恵梨香がファーストシーンとラストシーンでまったく違う人のようになっているのがとても良かったし、その過程を観ているだけで泣けた。江戸時代の話ではあるけどとても現代に通じるテーマだと思う。身分、性別、宗教など、一見重くなりそうなテーマをよくぞここまで鮮やかな人情喜劇にまとめたなぁと感心のひとこと。素晴らしかった!
イニシエーション・ラブ
鑑賞日: 6月3日(水)
映画館: ヒューマントラストシネマ渋谷
好き度: ★★☆☆☆ 2.5/5.0点
堤幸彦じゃなかったらよかったのに…
原作読んで映画という順で鑑賞。全体をコミカルにしてリアリティラインを下げることでA面とB面の切り替えという一番の難関をクリアしているのはよかった!だが、全体的にネジがユルユルすぎてひどかった。伏線も、伏線のための伏線になっていて下手だし、ラストシーンのアイディアは良かったのになぁ。なんでそこでそんないらないことするかな~というイライラが終始あったし、ラストのおさらい的に入れ込まれる蛇足という言葉をそのまま映像化したかのような展開には正直、正気か?と思った。たぶん脚本はすごくよくまとめている、あっちゃんも神がかって可愛い。諸悪の原因はすべて堤幸彦だと思う。まちがいなく。
ピッチ・パーフェクト
鑑賞日: 6月5日(金)
映画館: TOHOシネマズ六本木
好き度: ★★★★☆ 4.0/5.0点
映画全体、とてつもない多幸感
期待してたけど、期待以上におもしろかった!まずチームものとしてものすごく良かった。みんなちゃんとそこそこギクシャクしてて、それでもこれがチームなんだしこのメンバーでいくしかないんだよ!っていういい意味での諦めとだからこそ発揮される団結力にグッときた。リーダーの女がすごくドスが効いててとても良かったし、なによりゲロがよかった。ゲロを吐くということが腹の底を見せて思ってることをぶちまけるというストーリーテリングとしても機能してて感心した。まさかのゲロストーリーテリング!ブレックファストクラブの使い方とリスペクト具合にも感動した。こういう、映画が人生を変える瞬間を描いてくる映画には感動してしまう。アカペラもそうだけど、「表現」一般をこれでもかと陽の光で全肯定してくれるというとても気持ちのいい映画だった。あと、今までの伝統をサンプリングとマッシュアップで打ち壊すという現代音楽の縮図にもなってて、広い意味でのヒップホップ映画としてもとても素晴らしかったし、なによりこの映画がブレックファストクラブのサンプリングでありマッシュアップであるという構造も素晴らしい。一点不満があるとすればラストのなぜ前の男子チームよりも勝てたのかというロジックの弱さと、あと素人目からみても前の男子チームのほうが凄いように見えちゃってたことだと思う。でも男子チームのエピソードもあの負け犬くんの逆転劇とか捨てがたい感動があったし、やるならステージとステージの間にもうワンブレイクほしかったなぁとは思う。でも、とにかく映画全体がとてつもない多幸感で、満足度はハンパなく高かった。はやく2が見たい。最高!
おわり