「思い出のマーニー」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。











ネタバレあり













思い出のマーニー
7月19日(土) 11:05~ TOHOシネマズ六本木




好き度: ★★★★★ /5点



「物語論」にたちかえったジブリ



いちばん古い記憶ってなに?っていう質問よくやるじゃないですか。僕のいちばん古い記憶は母方のおばぁちゃんにおんぶされて、車で去っていく母親を見送ってる風景なんですよね。多分2歳、3歳くらいなのかな。僕、妹がいるんですが、体が弱くて生まれてすぐしばらく入院してたんですよね。小さいので母親は妹と一緒に病院に、父親は一日中仕事、さて僕はどこにいくのか。僕の実家は二世帯住宅で父方のおばぁちゃんとかも家にいたんですが、『8月の家族たち』の感想のときにも書きましたが、父方のおばあちゃんというのがモンスターでして、もちろん親がいない間僕の面倒を見るなんてことはしないわけで断られ、僕は福岡の母方のおばぁちゃんの家に、妹が入院している数ヶ月くらい預けられていたことがあるんですよね。そのときの記憶がいちばん古い記憶。父方のおばぁちゃんはモンスターで大嫌いでしたが、母方のおばぁちゃんはとても優しくしてくれましたね。いろいろなお話をしてくれまして、おばぁちゃんの昔話がおもしろくてね、何度も何度も同じ話を喜んで聞いていたんですよね。そのどの話も鮮明に覚えてるんですよ。そんなおばぁちゃんにも大学に入学して数年くらい会ってないんですよね。で、最近そのおばぁちゃんが体調を崩したと聞きまして、久々にこの夏休み、おばぁちゃんに会いにいこうと思っていたところだったのです。

というわけで、『思い出のマーニー』、初日に見てきましたが、このタイミングで見れて本当に良かったなぁと思います。個人的にとっても大切な映画になりました。ジブリで作品でもトップクラスに好きな映画です。



予告を観たとき、『我が青春のマリアンヌ』といろいろ酷似していたので、あ~はいはい、マリアンヌがやりたいのね、とか思ってましたが、ぜんぜんちがうところに連れていかれました。

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マーニーってなにものなのか?「我が青春のマリアンヌ」みたいに屋敷に閉じ込められてる少女なのか、はたまたアンナが作り上げたイマジナリーフレンドなのか、だいたいこの辺を予想しながら見てましたが、このマーニーという存在の答えがですね、ものすごくグッときたし、ジブリ再出発の最初の作品としてこのメッセージは素晴らしいと思いました。

ネタバレすると、マーニーはアンナのおばあちゃんでした。小さいころにおばあちゃんから聞かされていたおばあちゃんの昔話、その無意識の中にあった記憶がマーニーだったのですが、これにとてもグッときました。記憶と現実がつながっていく過程はとてもうまかったですね。「マーニーは私が空想で作り上げた人物なの」というセリフの後にまだ、あれ?この男の人はだれ?とか日記のエピソードとか、あれ?マーニーは空想の人物でもないのかも、マーニーは実際にいたの?と、どんどん疑問が広がっていき、そして最後は最近のジブリには珍しくシンプルにストレートにカタルシスのある回収がとても気持ち良かったし、思い返すといろいろ伏線がはってあって、グッときました。

そして、特にグッとくるのが、これはおばあちゃんの「お話」の記憶が結果的に主人公を見つめ直させて、成長させたというところですよね。これ、「物語」というものの可能性の映画だと思ったんですよね。「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」の後、宮崎駿も引退しここから再出発するジブリが発するメッセージとして、シンプルにとてもグッときました。「物語」を作り続けるジブリがここに立ち返ったことの感動というか、記憶に残る物語を今後も作り続け、その物語、それを観たときの記憶が、誰かの人生をなにかいい方向に進ませる手助けになるんじゃないか、そうしたいじゃん、というジブリ本体からのメッセージにも見えてきました。

そして、はじめの僕の話に戻りますが、アンナが「これ、おばあちゃんから聞いたお話だった!」と気づくと同時に、僕も上に書いた一番古い記憶に繋がりましてね、ここは泣いちゃいました。泣くさ、そりゃ泣くさ!( ;∀;)

ファンタジーをたくさん描いてきたジブリですが、この映画には今まで描いてきたジブリ的なファンタジーと現実というものが繋がる瞬間のカタルシスがあるんですよね。今回の現実がファンタジーになりそのファンタジーがまた現実に戻ってくる、今までのジブリとはちがったファンタジー感のバランスが僕はとても好きです。

この映画のファンタジーとの距離感は、ジブリが一歩前に進んだ結果なんだと思います。技術うんぬんではなく、文字通り『物語』というものが前に進んだ結果だと思うのです、この映画は『物語』というものの本質についての映画だと思ったのです。だから、心底グッときたのです。



まぁとは言っても好きじゃないところもあって、演出が濃いなぁコテコテだなぁとか、それをセリフでいってほしくなかったなぁっていうところとか、ちょっと観客に親切すぎるんじゃないかい、説明しすぎじゃないかい、とかいろいろ文句があったりなかったり。。

ですが、好きなものは好きなのです…。


ジブリが百合映画!これはみなくては(´∀`)ウヒャヒャヒャヒャ なんてゲスイ気持ちで見に行きましたすんませんでした!「あなたのことが大すき。」っていうキャッチコピーもさ、もろ百合映画にみえんじゃん、ちげぇんだ!孫を思う祖母のきもちだったんだ!なんて恥ずかしいんだ俺!(*_*)

というわけで、僕はとっても好きな映画です、「風立ちぬ」よりも「かぐや姫の物語」よりも、僕は「思い出のマーニー」が好きだ!( ;∀;)好きだー!!( ;∀;)


この夏、やっぱりおばあちゃんに会いに行こうと思います。








というわけで、期末テスト中なのでね(笑)さらっと取り急ぎ『思い出のマーニー』の感想メモでした。また落ち着いたら追記していきたいと思います。

今月は後、GODZILLAだな!

次の更新はテスト終わってからなので、8月入ってからかな~。それでは!


おわり




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スタッフ

監督
    米林宏昌 
製作
    鈴木敏夫
プロデューサー
    西村義明
製作担当
    奥田誠治
    藤巻直哉
    福山亮一
原作
    ジョーン・G・ロビンソン
脚本
    丹羽圭子
    安藤雅司
    米林宏昌
作画監督
    安藤雅司
美術監督
    種田陽平
動画検査
    大橋実
色指定
    加島優生
映像演出
    奥井敦
音響演出
    笠松広司
アフレコ演出
    木村絵理子
音楽
    村松崇雄
主題歌
    プリシラ・アーン
制作
    星野康二
    スタジオジブリ

キャスト(声の出演)

    高月彩良 杏奈
    有村架純 マーニー
    松嶋菜々子 頼子
    寺島進 大岩清正
    根岸季衣 大岩セツ
    森山良子 老婦人
    吉行和子 ばあや
    黒木瞳 久子
    森崎博之 美術教師
    安田顕 十一
    戸次重幸 紳士
    大泉洋 山下医師
    音尾琢真 町内会役員


作品データ
製作年 2014年
製作国 日本
配給 東宝
上映時間 103分
映倫区分 G