「マレフィセント」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。







マレフィセント
7月11日(金) 19:05~ TOHOシネマズ六本木




好き度: ★☆☆☆☆ /5点



『悪』には『悪』の魅力があってだな




「マレフィセント」、今ディズニーが悪役をどう描くのか興味があったので買ってあった前売り券で観てきましたが…とても残念でした…(´・ω・`)

『眠れる森の美女』のマレフィセントは一点の曇りもない悪で、清々しいほど純粋に悪、そこには理由とかそんなもはなく、ただただ悪、徹底的に悪なんですよね。久しぶりに見直したけど今見てもすごく怖いキャラクターですよね。女ヴィランという枠を越えて、ヴィランというものの象徴的存在になっただけの説得力、魅力がたしかに『眠れる森の美女』のマレフィセントにはあるんですよね。

今見ても素晴らしいですよ。眠れる森の美女。



今回の映画化で一番残念だったのは、マレフィセントの魅力をなにひとつ製作陣がわかってないこと、これが一番残念。しかもリメイクしたのはディズニー。ここも悲しかった。なぜマレフィセントはあれほどの悪になったのか、そこを掘り下げようということ事態はとても興味があったし、楽しみにしていました。眠れる森の美女では全くそこは描かれないわけだし、今どう再解釈していくのか興味がありましたし。見る前は前日譚的な作品かと思っていましたが、前日譚とプラスして眠れる森の美女の時系列に追い付かせて大胆に設定を変更したという感じの作りなのが本作。

この映画、マレフィセントはふつうにイイ人なんですよね。最初から最後まで一点もマレフィセントの真の『悪』の部分、いってみれば『眠れる森の美女』のマレフィセントの魅力をすべて排しているつくりなんですよね。これはどうなの?とどうしても思ってしまう。行き過ぎた再解釈で安易に「悪役も悪役なりに理由があるんだ。あいつも実は悲しい奴なんだよ」という考えから、「じゃあ悪役を実はイイ奴として描くことにしよう」というのは、それはノレないよ。しかもヴィランの象徴的存在のマレフィセントでそれをやったら絶対にダメでしょ。マレフィセントに失礼というか、ヴィランというもの自体に失礼だと思うんですよ。このなんか押し付けがましい再解釈自体がとても悪に見えましたよ。まっすぐな悪の魅力を信じろよ!と言いたい。『ダークナイト』の成功はジョーカーがまっすぐに悪だからだし、『デビルズリジェクト』もあの家族がまっすぐな悪だからこそあのラストシーンでグッきて涙するわけで。マレフィセントという題材を使いながら、悪を悪として描くことから逃げたこの映画の存在価値はゼロだと思います。悪だけど、感情移入しちゃう作りにするとか、悪以上の悪がいた、みたいなデビルマンみたいな話にするとかいろいろ悪を描く方法はあっただろうに…。しかも題材が悪の象徴マレフィセントというのが…やっぱり根本的に間違ってると思いました。なんだ、この違和感、マレフィセントというものを良いように良いように浄化しようみたいなこの企画の発想が、すごく気持ち悪かったんですよ。そんな安易な解釈に閉じ込められないのがマレフィセントじゃないの?


アンジーのビジュアルは良かったのに…




この映画の違和感のカンジ、思い出したのが、去年僕がワーストにした『マンオブスティール』のこと。ヒーローの象徴、善きアメリカの象徴であるスーパーマンをあのように描いた『マンオブスティール』の時に感じた違和感。一方はヒーロー、一方はヴィランですが違和感の根本は同じだと思いました。ぶれないまっすぐとしたものを(方向は真逆だけど)、描くことが難しい時代なのかもしれないですね。



あと、ナレーションも邪魔でした。設定や時代の流れを説明するのはいいんだけど、登場人物の心情まで説明しちゃうのは萎えました。あと、ラストシーンのナレーション、「あなたの知っているお話とはまったく違うでしょう?」これもあざとすぎてぜんぜんノレなかった。


ただ、良かったところもあるよ!まず、マレフィセント幼少期の女の子がとんでもなくかわいい!そして、飛行シーンの高揚感は素晴らしかったです!

この2人の初対面シーンはとてもよかった




あと、やっぱりオーロラ役のエル・ファニングは犯罪的に美しく、素晴らしかった。

針に指をさすまでの流れはちょっと無理矢理だったかな…




あと、アンジーはなんだかんだですごくハマってましたよ!作りこんだビジュアルはとても素晴らしいし、これはどうなのよ?とは思いつつもツデレマレフィセントを演じるにあたってのツンデレっぷりは激しく萌えました(´Д`)アンヴィバレント!! マレフィセントがはじめてオーロラをいやいや抱っこして角をつかまれて、それでもまんざらではないアンジーマレフィセント、ここも激しく萌えました。ええ、萌え狂いましたよ!!(´Д`)

眠れる森の美女がそんなに眠ってない、起きるのハヤスギとか、真実の愛のキスの結末が見え見えだし、そこにいたる演出も浅いとか、妖精3姉妹クソすぎ!とか、王様クソすぎ!とか、実は一番かわいそうなのはお妃様…とかいろいろ言いたいことはいろいろありますが、全体的に、企画自体が間違いという感想になりました。とても、とても、残念でした。

オリジナルのマレフィセントが好きすぎる故、申し訳ない。。


今年のトホホ3入りは間違いない気がしています…。




おわり



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スタッフ


監督

    ロバート・ストロンバーグ 

製作

    ジョー・ロス

製作総指揮

    アンジェリーナ・ジョリー

    マイケル・ビエイラ

    ドン・ハーン

    パラク・パテル

    マット・スミス

    サラ・ブラッドショー

脚本

    リンダ・ウールバートン

撮影

    ディーン・セムラー

美術

    ゲイリー・フリーマン

    ディラン・コール

衣装

    アンナ・B・シェパード

編集

    クリス・レベンゾン

    リチャード・ピアソン

音楽

    ジェームズ・ニュートン・ハワード

主題歌

    ラナ・デル・レイ


キャスト


    アンジェリーナ・ジョリー マレフィセント

    エル・ファニング オーロラ

    サム・ライリー ディアヴァル

    シャルト・コプリー ステファン

    イメルダ・スタウントン ノットグラス

    ジュノー・テンプル シスルウィット

    レスリー・マンビル フリットル

    ブレントン・スウェイツ フィリップ

    ケネス・クラナム ヘンリー王

    ハンナ・ニュー レイラ

    イザベラ・モロイ マレフィセント(少女時代)

    エラ・パーネル マレフィセント(少女時代)

    ビビアン・ジョリー=ピット オーロラ(5歳)

    エレノア・ワーシントン=コックス オーロラ(8歳)

    マイケル・ヒギンズ ステファン(少年時代)



作品データ

原題 Maleficent

製作年 2014年

製作国 アメリカ

配給 ディズニー

上映時間 97分

映倫区分 G

上映方式 2D/3D