「小さいおうち」を観た。 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。



小さいおうち
2月7日(木) 18:00~ 渋谷シネパレス


好き度: ★★★☆☆ /5点


まさかの人生初の山田洋次作品


まったく観る予定の映画ではなかったのですが、タマフルで課題映画になったこともあり、いい機会なので行ってきました。というのも、僕、山田洋次の監督作品を1作たりともちゃんと観たことがないという状況。なんとなくの雰囲気でこの人の映画は僕に合うはずがないという気持ちがあったのと、山田洋次を観る時間があれば、ホラーやアクションを観たいし(超ばかっぽいw)、こんな機会でもないと一生観ることはないかもしれない!ということで、渋谷シネパレスのメンズデーを利用して鑑賞してきましたー。

まさかの人生初の山田洋次。「男はつらいよ」は寅さんという名前と顔は知ってるもののどんな映画なのかさっぱり知らないし、「幸せの黄色いハンカチ」は名前と配役は知ってるもののちゃんと観たことないし、時代劇3部作もおもしろそうだなぁとは思ってましたがなかなか手が伸びず、「母べえ」とか「おとうと」とか前作「東京家族」とかは、自ら進んで観る映画では絶対にない(と思っている)ので…今回はほんとにいい機会だったかも。これを期にとりあえず、友達に勧められた時代劇3部作から見てみようかな~。


まったく前情報も入れず、予告も誰が出てるのかもまったく見ずに劇場に行きましたが、予想外におもしろかったです!! ポスターしか情報源がなかったので、小さいおうちに住む家族のほんわか暖かな日常映画かと思っていましたが、ぜんぜん違うくてw 一般目線から見た戦争ものであり、不倫ものであり、そしてまさかの百合ものという映画でした!

とにかく、主演の女優2人。女中であるタキを演じた黒木華さん、そしてその家の妻である時子を演じた松たか子この2人がものすごくよかったです。

特に松たか子さん、去年の西川監督「夢売るふたり」でもそうでしたが、近年の松たか子の生々しい色気と狂気、言うなれば『黒目力』ですよね。ほんと怖いし、生々しいしで、すばらしい女優さんだと思います。不倫相手である板倉(吉岡秀隆)に狙いを定めてからの色気と狂気、もう欲っちゃってフェロモンがダダ漏れているこの帯紐を締めるシーン、この映画で最も素晴らしいシーンでした。ホラー的な戦慄をも感じました!(・□・;)

↑この目ですよね~。あと、和服ならではのエロさ。欲を押さえ込んでる感じがすごくエロかった。 お、おそわれたい…(小声)


吉岡秀隆が魅力的かどうかは置いといて、不倫関係に入った板倉と時子さん、そしてそれを知りながらも誰にも言えないタキちゃん、ベタですがこの3角形もおもしろかったし、しかも印象的にそして確信犯的に挟み込まれる百合臭によって、おそらくタキちゃんは時子さんを好きになってるのでは…!?と思わせているわけで、手紙を渡していなかった!というシーンや「長く生きすぎた」というタキおばあちゃんの言葉にすごく重みが出てくるんですよね(´・ω・`)タイムリーですが、ブギーナイツのフィリップ・シーモア・ホフマンとタキちゃんがちょっと重なっちゃったり。切ない。。


現代パートと行ったり来たりする構造はまぁよかったんですが、やや冗長に感じて、特に最後に坊ちゃんに会いに行って手紙を開けるという一連のシーンは完全に蛇足に感じました。開けなくてもわかるし、そこはもうちょっと抑えて欲しかったなぁ~。


戦争に入っていく日本が市民目線で描かれるというその自然さというか、気づいたら戦争に入っちゃってる感じというか、時代の波に市民が置いてきぼりになってて気づいたら爆弾が落ちてる感じというか…とてもリアルで、そして怖かったですね。ただここも、妻夫木くんの現代からのツッコミがちょっとクドくてもうちょいここも抑えて欲しかったなぁとか思ったり。。


ですが、正直観る前は、「だって山田洋次でしょ~(ノ∀`)」って遠ざけてましたが、観てみると予想外におもしろくって前情報を全く入れなかった分、良いサプライズがたくさんあって、個人的にとても良い山田洋次映画との出会いだったと思います。これから、とりあえず、時代劇3部作くらいから観てみようと思います。おもしろかったですよ~!



◆◇そーす太郎的注目ポイント◇◆


松たか子の色気と黒目力



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スタッフ

監督
    山田洋次
プロデューサー
    深澤宏
    斎藤寛之
原作
    中島京子
脚本
    山田洋次

キャスト

    松たか子 平井時子
    黒木華 布宮タキ
    片岡孝太郎 平井雅樹
    吉岡秀隆 板倉正治
    妻夫木聡 荒井健史


作品データ
製作年     2014年
製作国     日本
配給     松竹
上映時間     136分
映倫区分     G