「奇跡」を観た。【DVD】 | そーす太郎の映画感想文

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しれっとネタバレしたりするんで気をつけてください。



こどもはこどもで「楽しくなるように努力してんねん。」

「そして父になる」はほんとにすばらしかったですね~。そして例によってタマフルで宇多丸さんのそして父になる評を聞きまして、『奇跡』の話が出てきまして絶賛していたのでこれは観なければ!ということで俺たちのTSUTAYAで借りてきました。是枝作品で唯一未見だった「奇跡」……「なんか、是枝さんにしてはベタベタな感じじゃね?」「奇跡って題名がなんかあれじゃない?」とかそんなクソみたいな理由で今まで観なかった俺をどうか殺してくれ!!!っていうくらい良かったですよーヽ(;▽;)ノ 是枝作品で一番好きなのは「歩いても歩いても」ですが、それにならぶ級に愛おしい作品になってしまいました。

是枝さんのドキュメンタリックな演出がいちばん映えるのがやはり”子役”使いだと思うんですが、それがいかんなく発揮された作品。というよりやっぱり、どこまでが演技でどこまでがある種ドキュメンタリックな自然な演出なのかほんとにわからない。演技してる子供を撮ってるというより、ほんとに遊んでる子供がいたからカメラ回してるかんじ。


主人公はまえだまえだの二人。

 

 


父親と母親が別れ、母親のいる鹿児島でくらす兄:航一。

 

 


父親のいる福岡でくらす弟:龍之介。


航一は父親と母親そして弟の4人でまた暮らしたいと考えていました。どうしたら、その”奇跡”が起こせるだろう。そうだ!桜島の火山が大噴火すればもう鹿児島に住めなくなる→また4人で暮らせると考えた航一そしてその仲間たち。熊本にある、新幹線と新幹線がすれ違う瞬間が見れる、いわゆる撮り鉄ポイントですよね(うちの父親もいろんなところにいってたなぁ)そこでお願い事をすると奇跡が起こるらしい。というわけで鹿児島にいる航一とその仲間たちと福岡にいる龍之介とその仲間たちはそれぞれ熊本を目指します。

まずこの映画、カメラの位置が低い。常に子供目線に置かれているんですよね。相田さんの観察映画シリーズじゃないですが、子供の生態観察っていうだけでも相当楽しいです。それぞれこどもたちが、「叶えたい奇跡」について秘密会議をする場面があるんですがそこなんかほんとにドキュメンタリックなんですよね。

ドキュメンタリックだからこそ、こどもがふと発するセリフがグサグサ刺さる。名言連発でしたよ。僕のお気に入りは龍之介が母親に「そっちは楽しそうね。」と聞かれて「楽しくなるように努力してんねん!」というところ。そして航一のラストの名言「ごめんな。家族よりも世界を取ってしまってん。」 という言葉。

そして父になる。僕は子供の視点がもうすこし欲しいなぁと思ってましたが。この映画が完全に子供目線の映画でしたし、実質2部作と言っていいんじゃないでしょうか。そして父になるは、最後の福山がデジカメを観て、そこで初めて子供からの視線を知るという作りだから、やっぱりそして父になるはあれでよかったんですね~。

とにかくすごい大傑作だと思いました。この映画もやはり是枝作品、能動的に見れば見るほどほんとにいろんな情報がやまほど入ってます。2時間ありましたが、それぞれの子供たちのバックボーンをしっかり描く努力がなされてます。爆笑シーン多数。ウルウルシーン多数。

あとやっぱりあれだね、クライマックスに今までのあんなシーンやこんなシーンをダイジェスト風にパンパンと見せるあのシーン。泣くよそりゃ!ヽ(;▽;)ノ(山下監督のリンダリンダリンダのラストのそれ同じく泣く)



あとあれ、長澤まさみが小学校にいたらそりゃああなるよ!笑 人生狂うわ!笑

保険の先生のあのシーンよかったなぁ。あんな保険の先生ずるいよな~。

熊本の老夫婦もよかったなぁ。そこ老夫婦の内部事情もサラッと見せていくかんじうまいなぁ~。

とか言い出すとキリがない。名シーン、名ゼリフ多数の大傑作ですよこれは!!ヽ(;▽;)ノナイター